6:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 01:13:18.99 ID:8pRhN5eX0
何回繰り返したろう。
隣に眠るのはキャンバスの束。
何度も描いてみるけれど、納得のいくできにならない。
頭に描きたいものは確かにあっても、表現する術を私は知らないんだ。だから、思い通りのものを作れない。
荒木さんは笑顔でじっと待っていてくれている。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 01:15:57.72 ID:8pRhN5eX0
「お疲れ様」
撮影が終わって。
プロデューサーさんが駆け寄ってきてくれた。
「凄い集中力だったな。俺も引き込まれたよ」
「あ、ありがとうございます。でも、お時間をおかけしてしまい、すいませんでした……」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 09:12:40.70 ID:8pRhN5eX0
翌日。
私は今日はオフをもらえた。
プロデューサーさんはどうやら私の絵を持ち帰り、一枚を廊下に飾ってくれたらしい。
プロダクションの中を歩き、私はその一枚をみつけた。
私、描けたんだ。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 09:25:27.25 ID:8pRhN5eX0
思い出すのは十年前。両親から実家に帰ると連れ出され、おじいちゃんの家にいたときの話。
私は好奇心に駆られ、自分の家の何倍も大きいおじいちゃんの家を歩き回った。
つんと鼻につく匂いを感じて、導かれるように一室に辿り着く。
おじいちゃんが中に居て、何やら集中しているようだ。
中へ入ろうとするとおばあちゃんに止められた。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 09:39:34.87 ID:8pRhN5eX0
「肇ちゃん」
荒木さんは私をまっすぐ見つめてくれる。
「芸術は完璧なら評価されるかもしれないっス。でも、作者として楽しまなきゃ私は二流だと思うっス。肇ちゃんにはそれを知って欲しかったっス」
「……ありがとうございます。荒木さん」
だから止めて下さいって、と笑う内に、荒木さんはトレーナーさんに呼ばれた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 09:48:22.68 ID:8pRhN5eX0
懐かしい匂いがする。
やっぱりその元に、おじいちゃんはいた。
「ただいま」
そんな声に少しだけ体を止めたけど、また動き出した。おかえりの言葉もなく、顔を見てくれない。
「どうした?」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 10:13:04.24 ID:8pRhN5eX0
以上となります
拙い文章で失礼しました
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