10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/24(金) 09:39:34.87 ID:8pRhN5eX0
「肇ちゃん」
荒木さんは私をまっすぐ見つめてくれる。
「芸術は完璧なら評価されるかもしれないっス。でも、作者として楽しまなきゃ私は二流だと思うっス。肇ちゃんにはそれを知って欲しかったっス」
「……ありがとうございます。荒木さん」
だから止めて下さいって、と笑う内に、荒木さんはトレーナーさんに呼ばれた。
どうやらレッスンの休憩中だったようだ。
短い別れを済ませ、再び一人になる。
「ふー……」
深呼吸。
荒木さんのおかげで、成長した気がする。
表現の方法を見つけた気がする。
いや、少し違うのかな。
変わるための鍵を受け取ったという感じなのかな。
「よし」
なら、試してみよう。
その鍵を、使ってみよう。
プロデューサーさんの部屋に強引に入る。
「ん? どうし――」
「プロデューサーさん!」
机に手をのせ、体を近づける。
「……マジでどうしたんだ?」
「実家に行かせて下さい」
「え?」
プロデューサーさんは戸惑いを隠せない。
「い、今からなのか」
「はい」
「お、オフとは言えど、あまりにも急じゃ」
「プロデューサーさん、知らなかったんですか?」
もう決めてしまったことだから。
「私って、頑固、なんですよ」
おじいちゃんに、会いに行かなきゃ。
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