1: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:00:36.15 ID:OipDTOFK0
周囲を忙しなく動き回る何かの気配で目が覚めた。
のっそりと上体を起こし、まだ重い瞼を瞬かせる。
私の周りをうろちょろとしていた気配の主は十年来の相棒、ハナコだった。
ハナコは私が小学生の頃にこの家にやって来た妹分であり、相棒でもある。
彼女はヨークシャテリアとミニチュアダックスフンドの血を半分ずつ持ち、唯一無二のもふもふ感を誇る。
父による命名であり、曰く、花屋の子だからハナコだとか。
この話を聞いたときは、もしかすると私の名前がハナコになっていたのではないか、と思ったものだ。
そして、ハナコは毎朝こうして私を起こすべく、寝ている私の周囲をうろちょろとする。
時にはお腹の上に乗って来たり、顔を舐めたりするという、そんじょそこらの目覚まし時計にはない機能まである。
人生の半分以上をそうして過ごしたことから、自然と朝には強くなった。
寝坊であるとか、二度寝であるとか、そういった類のものと私が無縁であるのは、ハナコの働きに因るものだ。
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2: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:02:04.86 ID:OipDTOFK0
○
ハナコが私を起こす理由。
3: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:02:43.74 ID:OipDTOFK0
○
髪を束ねて、ひんやりした水で顔を洗う。
4: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:03:20.55 ID:OipDTOFK0
○
着替えを済ませ、再び私が戻る頃にはハナコは既にご飯を食べ終えていて、散歩はまだか散歩はまだかと私の足元でくるくる回り始める。
5: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:03:46.49 ID:OipDTOFK0
○
使った食器をシンクに置いて、ふらふらとお店の方へと向かう。
6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:04:15.46 ID:OipDTOFK0
○
通りのソメイヨシノたちはかわいらしい花を広げていた。
7: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:04:54.15 ID:OipDTOFK0
○
ぐるりと町内を練り歩き、公園に寄り、来た道を戻って、私たちは帰宅を果たす。
8: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:05:28.36 ID:OipDTOFK0
○
お店へ戻り、カウンターの上の置時計を見やる。
9: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:06:02.45 ID:OipDTOFK0
○
ハナコを膝に乗せて、携帯電話をいじっている内に、開店時間が迫っていた。
10: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:06:43.88 ID:OipDTOFK0
○
軍手を外して、ふぅと軽く息を吐く。
11: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:07:09.79 ID:OipDTOFK0
○
所在無げに今日のスケジュールを眺める。
12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:07:35.08 ID:OipDTOFK0
○
さて、お仕事に取り掛かろう、と昨日のうちに固めた構想をもとに花束を包んでいく。
既に脳内で組み上げていたので、迷うことはない。
13: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:08:08.30 ID:OipDTOFK0
○
電話から十分ほど経った頃、お客さんが一人やってきた。
14: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:08:40.89 ID:OipDTOFK0
○
用意していた花束を持って店内に戻る。
15: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:09:07.06 ID:OipDTOFK0
○
私とハナコだけになった店内で、ふぅと胸をなでおろした。
16: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:09:33.45 ID:OipDTOFK0
○
そんな束の間の休息もほどほどに、次のお客さんがやってきた。
17: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:09:59.56 ID:OipDTOFK0
○
「そうですね。この時期に蒔けるものだと、こちらのヒマワリなどは簡単な」
18: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:10:29.41 ID:OipDTOFK0
○
女性のもとへと戻って、順を追い説明をしていく。
19: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:10:58.11 ID:OipDTOFK0
○
お客さんが来ては応対して、と過ごすうちに時計は正午過ぎを示していた。
20: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:11:35.44 ID:OipDTOFK0
○
玄関を上がり、廊下に差し掛かった時点でいい匂いがした。
21: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:12:04.38 ID:OipDTOFK0
○
洗面所で手を洗って、再び私がダイニングテーブルに戻る頃には、ご飯もスープも並んでいて、どうやら私待ちのようだった。
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