12: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2018/08/10(金) 00:07:35.08 ID:OipDTOFK0
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さて、お仕事に取り掛かろう、と昨日のうちに固めた構想をもとに花束を包んでいく。
既に脳内で組み上げていたので、迷うことはない。
あとはイメージしている最終的な完成予想と現在の姿を見比べて、微調整を加えるだけだ。
そうして出来上がった花束を、様々な角度から見渡す。
悪くない。
寧ろいい出来だと思う。
伝えられている予算が大きかったこともあって、ほとんど制約もなく自由に作ることができた。
自信作と言っていい。
なんて、自画自賛を繰り返していたところに、ぴりりりとお店の電話が鳴った。
一度のそれを経て、すぐに受話器を取る。
「お電話ありがとうございます。フラワーショップ渋谷でございます」
私の電話応対も、板についてきたのではないかと自賛する。
電話の主は簡単な挨拶を前置いて、名前と花束を注文していた旨を告げた。
もう間もなく取りに来る、ということらしい。
丁寧な言葉遣いで、腰の低い男性だった。
少ししわがれた声から、初老の紳士のような姿を連想する。
これで若い人だったら失礼だな、とも思った。
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