リボンに願い込めるValentine【ミリマス】
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1: ◆dwiL9FlWN.[sage saga]
2018/05/20(日) 15:51:43.55 ID:P2hx7BeN0
オリ女性Pと百瀬莉緒の百合です。
オリ女性Pメインなので、無理な人はブラバどぞ。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 15:54:16.36 ID:P2hx7BeN0
お菓子が好き、それもとびきり甘いものが。 甘くて歯がとろけてしまいそうなチョコレートなんて大好物。
だからデスクの引き出しには常にお菓子を用意している。 キャビネットの上から2番目は私のお気に入りのスペース。
もちろん地味で暗い私にはキラキラしたお菓子なんて似合わないことは知ってる。 だから人前ではお菓子は食べないようにしてる。 サボってるって思われるのも嫌だし。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 15:55:00.00 ID:P2hx7BeN0
「あら、やっぱり今日も残業?」
ドアの開く音と共に聞こえる色香を帯びた声。 その声は私の心を跳ねさせる。 きゅんって、ぴょこんって、およそ私に似つかわしくない音が私の中から聞こえた。
振り返れない。 振り返ったらこの心音がバレちゃうから。 だから私は急いで手元のチョコレートを膝上に隠した。 弱い私の、ほんの些細な抵抗。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 15:55:32.22 ID:P2hx7BeN0
「疲れてるでしょ? 甘いものとか食べた方がいいわよ」
そう言って莉緒さんが取り出したのはキラキラした彼女に相応しいソフトキャンディ。
ただのお菓子、それはそうなんだけど彼女から差し出されたそれは私にとって特別なものに思える。
5:>>4 修正[sage saga]
2018/05/20(日) 15:57:56.41 ID:P2hx7BeN0
「疲れてるでしょ? 甘いものとか食べた方がいいわよ」
そう言って莉緒さんが取り出したのはキラキラした彼女に相応しいソフトキャンディ。
ただのお菓子、それはそうなんだけど彼女から差し出されたそれは私にとって特別なものに思える。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 15:58:22.94 ID:P2hx7BeN0
「ねぇ、もうすぐバレンタインデーじゃない? 貴女は誰かにチョコとか送ったりするの?」
それは突然の発言。 私は百瀬さんの言葉にあっさり心を乱され動揺する私。 気にしてはいけない、この言葉に深い意味なんて無いんだから。
「アイドルの皆さん、伊吹さんや所さんに徳川さん天空橋さんに送る予定はありますよ」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:01:12.93 ID:P2hx7BeN0
「どうしよう……」
流れで百瀬さんに手作りのチョコを渡す、みたいな話になってしまった。 すぐに訂正しようかと思ったけど、その後中々百瀬さんに同行する機会が無くて出来なかった。 わざわざ百瀬さんにライン送って訂正するのも変だし。
なんて悩んでいる内に今日はもうバレンタイン3日前、このまま2月14日が過ぎ去ってくれたら なんて思うけど、期待してくれている(といいな) 百瀬さんを裏切るのはそもそも彼女のプロデューサーとして論外。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:01:47.37 ID:P2hx7BeN0
「あ、あの…… ちょ、チョコレート……」
やはり口にするのは恥ずかしい…… つまらない意地を張る自分が本当に嫌になる。
「ほ? プロデューサーさんも姫たちと一緒にチョコレートを作りたいのです?」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:02:13.13 ID:P2hx7BeN0
「プロデューサーさん、どうしてそんな暗い顔をしているのです?」
「チョコ、誰に渡すつもりなんですか〜?」
…… なんで私の心を覗こうとするの
10:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:02:42.32 ID:P2hx7BeN0
「そ、そうですね百瀬さんにも渡すつもりです」
「渡すのは女の子ばかりなのですね、それなら甘いチョコレートをオススメするのです。 女の子は誰だって甘いお菓子が大好きだから、とびきり甘い甘いチョコレートを渡せば喜んでもらえること間違いなし! なのです」
「そうですね〜 甘いお菓子が苦手な女の子が居たら見てみたいものですよねぇ、まつりさん?」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:03:14.23 ID:P2hx7BeN0
「そう、プロデューサーさんはまつりや朋花ちゃん、みんなのことは好きですか?」
「……」
『好き』そうやってすぐに答えられない自分が嫌、私は未だにこの子たちのことを受け入れられてない。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:03:43.26 ID:P2hx7BeN0
「あれ? 天空橋さんその分量は違うんじゃ」
「大丈夫ですよ、私の作るチョコレートは二人が作るものとは別ですから、私がチョコを渡したい相手は少し面倒な人ですからね〜」
「面倒……?」
13:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:04:12.15 ID:P2hx7BeN0
「ラッピングも終わり、これで完成なのです」
目の前に置かれいる、いくつもの綺麗に包まれたチョコレートたち。 お菓子作りなんて私に無縁のものと思っていたけれど、作ってみると案外これは私向きの地味で事務的なものだった。 これなら来年は私一人でもやれそうだ。
「それじゃ姫からプロデューサーさんにひとつ」
14:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:04:44.85 ID:P2hx7BeN0
「それなら私も、いつもお世話になっています」
「ううん…… その渡し方は30点というところでしょうか」
「えっ?」
15:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:05:12.94 ID:P2hx7BeN0
「バレンタインはこれからが本番です。 もしかしたらこの後貴女にとってとても苦しいことが起きるかもしれません」
「だけど逃げたりしないでね、彼女からも自分からも逃げずに向き合って、後悔だけは絶対にしちゃダメだよ?」
えっと……
16:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:06:54.37 ID:P2hx7BeN0
徳川さんと天空橋さんに手伝ってもらって、何とか手作りチョコレートを用意出来て、ついにバレンタイン当日。
まずは首尾よく社長さんや音無さん、青羽さんに渡すことは出来た。 ある意味予想通りだけど、誰からもチョコを手作りしたことを驚かれた。 少し前の私でも、私がチョコを手作りしたことを知ったら同じ反応すると思う。
伊吹さんと所さんにも渡そうと思っていたけど、二人とも他のアイドルの子たちと遊びに出掛けていったらしい。 まぁ無理に今日渡す必要も無いか……
17:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:07:23.31 ID:P2hx7BeN0
やはり私は事務仕事人間のようで、仕事を始めると時間もチョコも忘れ、黙々と作業に打ち込むことが出来た。
人と向き合わない仕事は楽、PCは人と違って自分が思った通りに動いてくれるし、気を使う必要だってない。
あぁ…… 結局こういう人なんだな私は、自分の心の中は誰にも見せたく無い、それなのに他人の思考が見えないのは許せなくて、そして怖い。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:07:52.30 ID:P2hx7BeN0
一気に体温が下がる、血の気が引いていくのを感じる。 大きな取り返しのつかない失敗をしてしまった時のあの感覚。
しまった…… いい時間になったら百瀬さんに連絡してチョコを渡そうと思ってたのにもうこんな時間に……
急いで電話を取り出して彼女にメッセージを送ろうとして、自分を制止する。 こんな時間に彼女を呼び出しても迷惑に決まっている。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:09:05.10 ID:P2hx7BeN0
本当に……?
本当に、私はただ百瀬さんへの連絡を『忘れた』のか? 私の脳が高速回転を始める。 私を悪役にするために、私を追い詰めるために。
つまりこう。 私は百瀬さんにチョコを渡すのが怖いから、逃げたいからわざと連絡せずに約束を破った。 そしてそれを自分自身に『忘れた』と思い込ませて。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:10:32.65 ID:P2hx7BeN0
「あ、やっぱりここに居た」
ノックも無く開けられる扉。 たった少し聞いただけで、それまでのめちゃくちゃだった気持ちを更にめちゃくちゃにしてくれる声。
「も、百瀬さん……」
21:名無しNIPPER[sage saga]
2018/05/20(日) 16:11:03.13 ID:P2hx7BeN0
なんて、余計なことを考えている内にも百瀬さんは私にどんどん近付いてくる…… どうしよう……
「ねっ、どうしたの?」
「何でも…… 何でもないです……」
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