6: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:30:38.12 ID:lFsgkv9uo
目と鼻の先、息も触れる距離。船を漕いでいた美穂も俺の輪郭がはっきりしてくるにつれて顔を赤らめていく。
「わわっ! 近いですよ!」
7: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:33:02.26 ID:lFsgkv9uo
「プロデューサーさんはゆっくりしていてくださいね」
そう言って美穂は台所に立つ。包丁すら置いていなかった台所に左利き用の包丁が置かれるようになったのはいつのことだっただろうか。
「手伝えることある?」
8: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:35:01.46 ID:lFsgkv9uo
「どうしたんですか? こっちを見て」
「いや、美穂も変わったなぁって思って」
「そうですか?」
9: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:38:50.22 ID:lFsgkv9uo
「いただきます」
何歳になっても手料理というものは良いものだ。それも自分のことを好きでいてくれる女の子が気持ちを込めて作ってくれたのならば尚更である。
「どうですか?」
10: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:40:53.14 ID:lFsgkv9uo
「プロデューサーさんの好みの味、研究した甲斐がありました」
アイドル活動もお料理も全力で頑張ってくれている。そのことがとても嬉しかった。
「そうそう、親御さんにこの前頂いた焼酎美味しかったって言ってたって伝えておいて欲しいんだ」
11: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:42:35.05 ID:lFsgkv9uo
彼女なりに気にしていたようだ。とはいえ、大人のお姉さん方とおつまみトークをしていた美穂はイキイキしていたと卯月から聞いていたし無理に嘘をつくこともないだろう。
「いやいや、そんなことはないよ。好きなものも嫌いなものも全部ひっくるめて小日向美穂って女の子でアイドルなわけだし。それに」
「それに?」
12: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:45:37.24 ID:lFsgkv9uo
「ふんふんふーん」
洗い物くらいは俺がやると美穂を休ませる。無防備にもソファに寝っ転がり足をバタバタさせながら携帯を見ている。付き合い始めたばかりの頃はロボットみたいにぎこちなかったのに、これはこれでリラックスしすぎな気がする。ちょいちょい美穂の私物も置かれるようになって来て半同棲生活みたいなものだから仕方ないのかもしれないけど。
「パンツ見えるよ?」
13: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:46:06.66 ID:lFsgkv9uo
「洗い物終わったら、一緒にぐだーってしませんか? こんな時間なんで日向ぼっこはできないけど……」
「はいはい」
洗い物をちゃっちゃと終わらせて美穂の隣に座る。一人暮らしには大きいくらいだったソファーだったけど、2人だと若干狭めだ。
14: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:48:30.56 ID:lFsgkv9uo
「で、でも! プロデューサーさんのガッシリとした身体はホッとしますし……みんな違って、みんな良いんですっ!」
そう言って美穂は強めに抱き寄ってくる。
「それに……プロデューサーさんがくれるドキドキが大好きなんです。今幸せだなぁって思えて……こんなに幸せでいいのかなって思っちゃうくらい」
15: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:51:02.90 ID:lFsgkv9uo
「じゃあ帰りますね」
恋人同士になって俺の部屋に通うようになっても今のところお泊まりはNGにしている。夜も遅いし送っていきたいのは山々だがパパラッチされたら致命的だ。寮からはそこまで距離が離れていないので、美穂はいつもそのまま1人で帰っている。美穂も制服の上に上着を着て眼鏡と帽子で変装をしているがそれでも気付く人は気付く。名残惜しいけど今日はお別れだ。
「また明日ですっ」
16: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2018/05/18(金) 23:54:40.24 ID:lFsgkv9uo
「カット!」
「ふぅ……」
「お疲れ様、美穂」
27Res/24.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20