遊び人♀「おい勇者、どこ触ってんだ///」
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190:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/07(火) 20:44:09.52 ID:WrTit5G+0
 春の陽気のせいか、身にまとったクロークの下は汗でびっしょりだった。
 だが、これを脱いでしまうと、時折吹く冷たい風に誘われて身体が震えてしまう。これがいっそのこと、ひたすら暑ければ諦めもつくし、寒ければ身にまとう服の枚数を増やせばいいさ。だが、春は中途半端に過ぎる。だからこそ、俺は春が嫌いなのだ。

 この半年間、俺は酒を飲んでは飛び、酒を飲んでは飛びと、千鳥足テレポートを繰り返した。
以前の失敗から、千鳥足テレポートの要領は得ていた。ただ酒に酔うのではダメなのだ。陽気な気分で足を右へ左へ自由気ままに進め、まるでステップを踏むかのようにリズミカルに、それでもなお前のめりに。そういう心持ちでなくては千鳥足テレポートは成功しない。
以下略 AAS



191:名無しNIPPER[sage]
2019/05/08(水) 00:34:21.72 ID:617mB4UDO



192: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/08(水) 19:42:23.43 ID:uG8tzRkA0


「ねえお兄さん。悪いけど、このまま飲み続けられると他のお客さんの分がなくなっちゃうよ」


以下略 AAS



193: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/08(水) 19:44:47.54 ID:uG8tzRkA0

 久しぶりの故郷の空気を吸い込んでも、俺には何の感慨も沸き上がらない。俺は、そもそも孤児だったし、幼い頃から勇者としての厳しい訓練や教育を受けていたためか、ここには何の楽しい思い出もない。浮かぶのは、せいぜいが、勇者としての責務を果たしきれていないことへの罪悪感ぐらいのものだ。


「ほっほっほ、久しいのう勇者様。帰ってきたということは、遂に魔王を打ち取ったか? 」
以下略 AAS



194: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/08(水) 19:45:13.75 ID:uG8tzRkA0

「かつて、お主と同じように女神から力を授かった勇者はたくさんおる。不死の力、莫大な魔力、全てを見通す目、まあ力は様々じゃが、共通している点がひとつ……」


「そ、それは……」
以下略 AAS



195: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/08(水) 19:45:41.49 ID:uG8tzRkA0

「……あるが、どうするのじゃ?」


「いえ、酔えなくはなったのですが、せっかくですからここのワインの味ぐらいは確かめて帰ろうかと……」
以下略 AAS



196:今日はここまでです ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/08(水) 19:46:20.63 ID:uG8tzRkA0

「少なくとも、幹部級がいるとのことじゃ」


「なぜ、そのような情報をお持ちであったのに、もっと早く知らせていただけなかったのですか!?」
以下略 AAS



197:名無しNIPPER[sage]
2019/05/08(水) 20:20:46.35 ID:K0tUgFXlO
おつおつ


198:名無しNIPPER[sage]
2019/05/09(木) 00:20:53.30 ID:WgKj7BqDO

メチルはやめとけメチルはwwでも耐性有るから平気か


199: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/09(木) 21:58:24.09 ID:2o8X2YGF0
 魔王の秘密基地への奇襲攻撃は、十日後の深夜から明け方にかけて行われることとなった。司教の情報によると、基地内には魔王軍でも精鋭と呼ばれる魔物たちが溢れているらしい。当初は一人で乗りこむつもりだったが、司教の勧めもあって教会の僧兵たちを引き連れていくこととなった。その準備に日を要するとのことだ。手数が多ければ、魔物を逃がしてしまう恐れも少なくなる。断る理由はなかった。


 司教は、教会の宿舎に泊まれるよう手配すると申し出てくれたが、俺はそれを辞退した。久方ぶりに眠れない夜を過ごしたせいか、頭が割れるように痛く、重かったからだ。人の出入りが多い教会では、ゆっくり休むことは難しいだろう。俺は、街外れの安宿に部屋を取ることにした。

以下略 AAS



200:今日はここまでです。いつもありがとうございます。 ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/05/09(木) 21:58:57.23 ID:2o8X2YGF0

 そう、要は「慣れ」なのである。耐性の力に頼らずとも、慣れてしまえば俺は大丈夫なのだ。彼女に逃げられてしまった悲しみにだって慣れてしまえばいいのだ。……いやまて、俺は逃げられたのか? いや、そうじゃないはずだ。あの晩、俺たちは確かに愛し合った。不手際か?俺が、知らぬうちに何かをやらかしてしまっていたのか?突っ込む穴を間違えた?いやまて、だったら、彼女のことだ笑いながら許してくれる……はずだよな? いやいや、仮にそうだとしても。彼女が怒り心頭したとしてもだ。俺の前から、書置きすらなく急に消えることなんてことはないだろう。逃げられたというのは、妥当な推論から最も遠いところにあるはずだ。ならば、なぜ彼女は姿を消したというのだ。……第三者に攫われたとか? いや、いくら俺が女にうつつを抜かしていたといっても、寝ている隙に女を攫われて気づかないはずがない。伊達にも勇者なのだ、そこまで無能を晒すほどやわな男ではない。では、やはり、彼女は自身の意思で……。


 ああ、だめだ間に合わなかった。遂に、喧噪の夜が始まってしまった。そう、これだ。不安や不満、焦りや怒り。俺の中にあるありとあらゆる負の感情が、俺の意思とは関係なく思考の滑車をくるくるとまわすこの感じだ。止まらない思考から生み出される推測や、憶測は、更なる不安を呼び、その不安がまた思考を回させる。これが始まったら、もうおしまいだ。今晩もまた、俺は眠りにつくことはないだろう。
以下略 AAS



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