105: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 06:57:28.99 ID:uqQOtxCi0
「……零点、ですね」
へたくそな字、めちゃくちゃなつづり。
胸に抱き締めた、くしゃくしゃになるのも構わず。
106: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 06:58:54.41 ID:uqQOtxCi0
『おまんのうたが、すきだ。』
最後にとって付け加えたような、この走り書きが、きっとただひとつの、おまえ様の本心ではありませぬか。
107: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 07:00:59.28 ID:uqQOtxCi0
◇◇◇◇
「――――この石段は……明治維新の後、鎮魂の意味を込めて、士族となった元お侍さんが積み上げたそうです。侍神社という名前の由来だそうです、全部で、二百段近くあるそうですよ。」
果てしない石段をくるむような背の高い木々がひんやりとした空気を冷やし、月光のような木漏れ陽が、森と岩肌を、碧く照らす。
108: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 07:04:57.85 ID:uqQOtxCi0
「へえ、頂上は結構、広いんですね」
境内は、ちょっとした広場のようになっていて、僕たち以外にもまばらな参拝客の姿が見て取れた。
高い場所にあるから、街の様子が見て取れる。
109: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 07:05:53.08 ID:uqQOtxCi0
「おや、その社に番いで参られる方は、珍しいねえ」
楓さんに倣って祠に手を合わせていると、巫女装束のお婆さんに声をかけられた。
「ここはな。今でこそ高台じゃが、元々は川辺だったんじゃて。明治に入ってからの街区開発でこったな風になったらしいがの。この社は、この地にまつわる、とある悲恋のふたりを祀っておる。」
110: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 07:07:48.12 ID:uqQOtxCi0
――――この辺りは、昔は貧しい村での。幼かった太夫は飢饉の口減らしの為に、島原に売られたそうな。
太夫には好いた男がおった。男は人買いに手を引かれ、連れ行かれる太夫に言うた。
111: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 07:11:14.37 ID:uqQOtxCi0
「……村の者はそんな太夫を憐れみ、いつか後の世に、二人の魂が再び巡り合えるようにと、二人の生まれたこの地に社を建てたということだよ。」
語り終えた後、お婆さんは曲がった腰をよいしょと伸ばすように、楓さんの事を仰ぎ見た。
112: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 07:16:27.42 ID:uqQOtxCi0
週末には完結できるといったな、すまない、あれは嘘だ。
あと一息ですが、仕事行ってきます。
今日の夜か明日には完結させます。
113:名無しNIPPER[sage]
2018/04/23(月) 07:24:43.17 ID:h2lyso3qo
乙
114:名無しNIPPER[sage]
2018/04/23(月) 07:34:38.91 ID:+nwiIY7FO
乙
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