106: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 06:58:54.41 ID:uqQOtxCi0
『おまんのうたが、すきだ。』
最後にとって付け加えたような、この走り書きが、きっとただひとつの、おまえ様の本心ではありませぬか。
――――それなら、それでようござんす。わっちはこの身が朽ちるまで、うたを歌いて、すごしやんす。
いつの日か、おまえさまに届くでしょう。
こったな手紙は、信じられませぬ。楓は、お前様とのお約束をば、信じております。
お前様の居らぬ天の下を、楓は生きようとは思いませぬゆえ。
たとえ気ぶれと呼ばれましょうとも、歌い抜いて見せましょう。
それが手前勝手な運命さだめへの、楓の意地でございあんす。
百年経って皴干からびても、歌っておりやんす。七度生まれ変わりて姿かたちば変わりましても、歌っておりやんす。
声さえ聞こえれば、きっと童の時分のように、飛んできてくださいますね。
あの頃の、故郷の川で、きっと。
笑顔でおりやす。ずっと歌っておりやんす。ですから、早く見つけてくんなんし。
お前様、おまえ様、おまえさま。
ねえ、おはやく。どうかどうかどうか
どうか。
163Res/145.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20