110: ◆PL.V193blo[sage saga]
2018/04/23(月) 07:07:48.12 ID:uqQOtxCi0
――――この辺りは、昔は貧しい村での。幼かった太夫は飢饉の口減らしの為に、島原に売られたそうな。
太夫には好いた男がおった。男は人買いに手を引かれ、連れ行かれる太夫に言うた。
『わしは剣を磨く、おまんは芸を磨け、互いに天下に名が轟いたら、必ず迎えば行って、おまんを連れてこの村さ帰って、共に暮らそう』
やがて太夫は花街随一とも呼ばれる花魁となり、男もまた、剣で名乗りを上げ、上洛を果たしたそうな。
男は勲を積み、ついに太夫を身請け出来ようというところまで来た。じゃが、ある戦に出て、二度と帰ってはこんかった。
太夫は男に焦がれるあまり、気がふれてしもうた。
年季が明け、自由の身となっても芸の稽古を辞めず、諸国を彷徨ったという。歌っておれば、いつか男が迎えに来る……と言うての。
結局、二度と出逢うことは出来んかったそうな。
163Res/145.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20