荒木比奈「ジャスト・リブ・モア」
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19: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:13:09.34 ID:BEFLqt5g0

風が冷たい。でも体は熱い。大慌ててで電話に出る。

「も、もしもし!」

以下略 AAS



20: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:13:40.84 ID:BEFLqt5g0

疲れていながらも、彼の声は落ち着いていた。それに対して、私は巡り合わせのような、ご都合主義のようなこの状況で、心臓がバクバクしていた。だって、さっきまで思っていた人から電話がかかってくるなんて思っても見なかったことだし。

「で、でPさんは何の用っスか?」

以下略 AAS



21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:14:24.05 ID:BEFLqt5g0

『…誕生日、おめでとう!』




22: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:14:51.04 ID:BEFLqt5g0

「…………あ……ハイ………」

『日付が変わる前に、言えて良かったよ』

以下略 AAS



23: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:15:32.79 ID:BEFLqt5g0

それから私は、二人には話していない所まで彼にお話した。将来に対して抱えていた不安、夢がなかった事による焦燥、出会えてから見つかった目標。支離滅裂で、所々跳んじゃうけど、思いが止まらずあふれ出る。

「アイドルとして楽しい日々を送ることも出来て…だから…アタシ、Pさんには感謝しかないんスよ」

以下略 AAS



24: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:16:02.29 ID:BEFLqt5g0

『うん…うん、そっか』

私達は、もっともっとお話をした。この一年の、二人で過ごした時間の話。話していると、全てが懐かしくて新しくて、出来ることならもう一度、なんてことも思ってしまう。

以下略 AAS



25: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:16:38.46 ID:BEFLqt5g0

◆◇◆

比奈との通話が終わり暗くなったディスプレイを一瞥し、スマホを懐にしまう。それから、仕事用に椅子に座り直した。

以下略 AAS



26: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:17:37.23 ID:BEFLqt5g0

僕には、夢がなかった。正しく言えば、子供の頃からの夢に破れ、やりたいことが見つからなかったのだ。

成り行きでプロデューサーになった後、夢破れた自分を恥じ、過去に決別しようと思った。無理に一人称を変え、髪型を変え、口調を変え、自分を変えようとした。その全てが中途半端に終わった。我ながら情けなかった。

以下略 AAS



27: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:18:14.41 ID:BEFLqt5g0

それに、感謝しかないのはこっちだって同じだ。夢破れて何も無かった自分に、夢をくれたのは比奈なんだ。

「荒木比奈のプロデュース」という夢をくれたのは、他でもない、交差点で出会った彼女なんだ。あのときから、僕の人生は再スタートを切ったんだ。比奈みたいに弱い自分と向き合いたいと、心の底で思えるようになった。だから、お礼を言うのはこっちの方なんだ。

以下略 AAS



28: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:18:40.95 ID:BEFLqt5g0

◆◇◆

私は、ベランダで後悔をしていた。急にあんな事を言い出して、引かれてないかと言うこと。懸念していたはずなのに、なんだ、私は浮かれていたのか。浮かれていたな、うん。

以下略 AAS



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