28: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/04/09(月) 00:18:40.95 ID:BEFLqt5g0
◆◇◆
私は、ベランダで後悔をしていた。急にあんな事を言い出して、引かれてないかと言うこと。懸念していたはずなのに、なんだ、私は浮かれていたのか。浮かれていたな、うん。
でも、彼なら引かずに受け止めてくれる気がする。もっとダメなところとか、弱いところを見せている気がするし。彼はこれくらいじゃ引かないかも…。
すがりつくような希望を持ったまま、夜空を見上げる。月と星が、黒色の中で光り輝いている。それに心を奪われ、寒さなんて気にせず、ずっと上を見上げていた。
「あ」
ぼーっとしていると、ふと気がついた。
「アタシ…初めてPさんに誕生日を祝ってもらったんだ…」
普通に考えれば分かることに、今さら気がつく。
『誕生日、おめでとう!』
電話越し、耳元で囁かれた言葉を思い出しながら、空を眺めニマニマする。
「へへ…えへへへ…」
物語はいつも、出会いから始まる。そして、終わらない限りそれは続いていく。来年、再来年、ずっとずっと先まで、いつまでも祝ってもらえればいいなと、流れていない星に願った。
輝く星にさよならをして、私は部屋に戻る。寝ている二人の邪魔をしないように、冷えた下半身をコタツに入れる。
「えへへへへぇ…」
ずっと先のことを思うと、中々寝付けなかった。今日は、長い夜になりそうだ。
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