79:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:47:19.13 ID:pV04h44/0
忍野「…むぅ。刀を握ったままではお前様を抱き締められない、刀を握らなければ儂を守れない」
阿良々木「何処までも自分本位なポエムになってる!?久保先生に謝れ!」
阿良々木「大体、怪異の王がお化けにビビるってどうなんだ?」
80:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:48:09.08 ID:pV04h44/0
忍野「確かに正論じゃが、このタイミングでは話を逸らした様にしか思えんぞ」
阿良々木「誤解を招く発言があったことは陳謝致します…が、発言内容については撤回すべき点は無いと存じております」
忍野「何処ぞの政治屋が口にしそうなセリフじゃの。なんじゃ、将来は議員にでもなって不倫報道されて破滅するのが夢か?」
81:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:48:53.27 ID:pV04h44/0
膝だけでなく、腰の辺りまでガクガク言わせながら入った割には、肩透かしを食った気分だった。
入っても物音一つせず、シンと静まり返っている。
僕としては、入った瞬間に髪の毛に巻き付かれたりだとか、真っ白なモノが目の前を横切ったりだとか、そう言ったある種の出落ちみたいなものを覚悟していたのだが。
出落ちどころか出ないし落ちない。
82:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:49:58.17 ID:pV04h44/0
忍野「気付いておるかの?」
忍はちらり、と視線を動かしながら問いかけてくる。
静かに首を振った。確かに違和感はあるが、それが何かまでは判らなかった。
83:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:52:02.70 ID:pV04h44/0
忍野「そうじゃな。恐らくお前様の感じたものと、儂の感じたものは同じじゃ」
忍に言われたから、そう感じるだけの気もするけれど。
しかしこれは、考えようによっては運が良いのかもしれない。
僕には集中しないと感じられない程度の存在という訳でもあるのだ。
84:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:52:57.16 ID:pV04h44/0
忍野「儂らがここの扉を潜ってから、すぐに現れた所を見るに、この部屋に何かあるだけかも知れんぞ」
阿良々木「じゃあこれ以上ここを捜索するのは……」
止めよう、と言おうとしたら膝を蹴られた。
85:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:53:57.43 ID:pV04h44/0
忍野「ま、余り逆鱗に触れてお前様が呪われては元も子もないがの」
がさごそと、前住人が残して言ったであろう荷物の中から、何かないかと探して行く。
忍も妖刀を畳に突き立て、辺りを探っている。
86:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:54:58.14 ID:pV04h44/0
阿良々木「違うよ、忍。僕のピンチはどうだって良いんだ。ここで僕がやられれば、月火ちゃんを助けられない」
それだけだ、と本日何度目かの格好つけをして見せたが、「かかっ」と凄惨な笑顔を見せる彼女の方が数段格好良かった。
忍野「どちらにせよ、そんな状況に追い込まれた時点で、お前様に危機が及んでおるではないか」
87:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:56:03.37 ID:pV04h44/0
忍の方を振り返った時、キラリと妖刀が光を反射した。
切れ味の良いその刀は、磨きに磨かれ、まるで表面が鏡の様に光沢を帯びて居たのだ。
そこに、映っていた。
僕がではない。僕の背後にある階段が。より正確には、その手すりの間からこちらを覗く真っ白な少年の姿が。
忍野「何じゃお前様、どうかしたのか?」
88:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:58:31.55 ID:pV04h44/0
背筋を、スゥーっと汗が流れて行く。
下着のゴムに行き着いて、ジワリと左右に広がる感じが、どうにも気色悪かった。
それでも何とか絞り出して、忍にこの事を伝えようと彼女の目を見る。
そして口を開きかけた途端、何処からともなく『ミャー』と猫の鳴き声が聞こえた。
89:名無しNIPPER
2018/04/05(木) 04:59:32.90 ID:pV04h44/0
阿良々木「そもそも、動物は本能ってヤツでこんなとこには入ってこないんじゃないか?」
ならば、今の鳴き声は。
悪寒が加速する。
思わず、さっと周りを見渡す。
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