194:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:41:24.42 ID:CaJ2VfCb0
「……え、ダメ?」
「……お、お好きにどうぞ」
195:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:42:27.98 ID:CaJ2VfCb0
「だって、こうしてちゃんと話せてるじゃない」
目線を合わせて、「わたし」の頭を撫でる。
なぜかそのとき観客席の一部が沸いた。気を取られている間にも、話は進んでいる。
196:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:42:56.32 ID:CaJ2VfCb0
「わたし」はエリに会う前の晩はよく眠れなかった。
けれど会うまでに睡眠を取っていたから、最中は眠たげな様子を見せていなかった(二人の会話でそういうものがあった)。
エリと触れあっている時間を反復するように、それまでは椅子の上に置いていた人形を胸に抱えて眠るようになっていた。
197:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:43:48.92 ID:CaJ2VfCb0
「誰にも見つからないまま死んでしまうんじゃないですか」
「うん。……落ちてみたいって思わない?」
198:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:44:49.29 ID:CaJ2VfCb0
「……どうして」
「ねえ……ここから落ちたら、気持ちよくなれるのかな。つらくなくなるのかな。アタシには、それが全然わかんないよ」
199:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:46:22.56 ID:CaJ2VfCb0
翌日の夕暮れ、「わたし」が庭に向かうと、エリはもう既に井戸の縁に座っていた。
いつもなら手にしているはずの本も何も持っていなく、「わたし」の姿を捉えた時にやっと表情に温度が戻った。
「ねえ、落ちても死ななかったらどうしよっか?」
200:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:47:23.33 ID:CaJ2VfCb0
「……」
「いろいろつらいことがあったから忘れているんだと思う。『本当につらかったら──』って、あの人はあなたに言ってたはずだよ」
201:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:47:55.31 ID:CaJ2VfCb0
「アタシに、名前を付けてくれないかな」
「……え?」
202:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:49:07.54 ID:CaJ2VfCb0
【文化祭 1ー7】
外に出て話をしていると、伯母さんはすぐに「明日も来るからね」と帰っていった。
203:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:49:39.64 ID:CaJ2VfCb0
かと思いきや数秒後には不満げに口をとがらせて、
「そんなことはどうでもいいんですよ」
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