201:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:47:55.31 ID:CaJ2VfCb0
「アタシに、名前を付けてくれないかな」
「……え?」
「馬鹿らしいことかもしれないけど、今も昔も、アタシはあなたのことがずっと好きだよ──」
──"エリ"。
エリは微笑むと、ぐいと強く「わたし」の身体を引く。
二人の姿が見えなくなると同時に、舞台が暗転した。
陽の射さない部屋で、「わたし」は目を覚ます。
目と、頬と、首筋を指でなぞる。涙の跡を縫うように。
胸に抱えている人形を見つめて、何かを思い出したのかその服のリボンの結びを解く。
「……そっか」
中から何か紙切れのようなものを取り出す。
それを見て頷き「わたし」は起き上がり、ぺたぺたと音を鳴らして舞台袖の方へと歩いていく。
「……行ってきます」
声とともに、徐々に舞台が暗くなっていく。
ドアの開閉音がすると、それ以降は何の動きもなくなった。
終わりですよ、と隣から零華の声がしたかと思えば、客席の誰かがぱちぱちと拍手をし始め、
体育館の照明が点灯し演者の二人が現れると、一気にどっとその数が増え、大きな拍手で劇は締めくくられた。
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