198:名無しNIPPER[saga]
2018/06/29(金) 01:44:49.29 ID:CaJ2VfCb0
「……どうして」
「ねえ……ここから落ちたら、気持ちよくなれるのかな。つらくなくなるのかな。アタシには、それが全然わかんないよ」
「……」
「でも、あなたが一人でそうするなら、アタシも一緒に落ちてしまいたい。そうしたら、何かが変わるかもしれないから」
「わたしは、エリさんがいれば……」
「ううん、そうじゃないの。…………だって、ずっとこのままってわけにもいかないでしょう?」
あなたも薄々気付いてるんじゃないの? とエリは苦しそうに笑う。
「あした、ここで待ってるから」
答えを聞かずにエリは踵を返す。
取り残された「わたし」は井戸を一瞥して、崩れるように地面に座り込んだ。
「エリさんが『あなたとなら』と言ったところで、わたしはそれを信じ切れる自信がありません。
けれど、エリさんがどうしてもとわたしにそうすることを望むのなら……」
ごめんなさい、と「わたし」は言葉を宙に向けて放った。
「わたし"は"、あなたじゃなくてもいいなんて思いません。それはあなたがどう思っていようとも変わりません」
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