2:名無しNIPPER[sage]
2018/01/23(火) 06:06:08.31 ID:RpqNEFizo
菜々さんが事務所にいてくれると、とにかく助かってしまう。
彼女は年少から年長まで誰でも接しやすく、場の雰囲気を和ませてくれる上に、気配りもできる人だ。
3:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:06:51.51 ID:RpqNEFizo
幸いにして、事務所で寝泊まりすること自体は簡単だ。
仮眠室があるため寝床の心配はない。
4:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:07:33.04 ID:RpqNEFizo
菜々さんに麦茶の用意と、余分にお湯を沸かしてもらうことを頼んでしばしの後。
オフィスの一角、普段はアイドルが読書や勉強、あるいはゲームなどに使っているテーブルセットが食卓となっていた。
5:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:08:04.03 ID:RpqNEFizo
「こういう時のラーメンって、なんだかいつもより美味しく感じますねぇ……」
ほっこり、ほにゃっと蕩けた菜々さんの顔――私はこれをふにゃミンと呼んでいる――を見ることが出来ただけでも、
6:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:08:39.66 ID:RpqNEFizo
温かさから出た余裕か、またはこの瞬間に記憶に残る何かを望んだか。
その両方からかもしれない。
7:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:09:16.65 ID:RpqNEFizo
屋上へと続く階段を登り切ってから、いつもよりも重みを増した扉を押し開くのは、腕力のある私の仕事だった。
扉を開いて最初に感じたのは、冷たい風の吹き込み。
8:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:10:11.19 ID:RpqNEFizo
屋上に、小さな雪うさぎを二羽並ばせ終えたところで、菜々さんがくしゃみをした。
「ふぇっくしょい」と響いた音は、彼女に冷静さを取り戻させるきっかけとなったようだ。
9:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:10:46.43 ID:RpqNEFizo
締まらないものだ、と感じつつ、屋上の扉を開き、ビルの中へと戻る。
特別な舞台での出来事は終わり、後はもう無事に夜を明かすことを考えるだけでいい。
10:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:13:14.55 ID:RpqNEFizo
心臓だけがはっきりと脈打つのを自覚するが、しかし体は当然冷えていた。
きっと、それは私だけではなかったのだろう。
11:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:13:56.96 ID:RpqNEFizo
「Pさんっ! ごめんなさい、ナナのせいで! 大丈夫ですか、怪我してませんか!?」
状況を理解した菜々さんが、私の上から退いて、慌てつつもしっかりと問いかけてくる。
12:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:14:44.21 ID:RpqNEFizo
しかしその最中、菜々さんの方から奇襲的な甘い囁きがもたらされた。
「また誘ってくださいね」と。
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