7:名無しNIPPER[saga]
2018/01/23(火) 06:09:16.65 ID:RpqNEFizo
屋上へと続く階段を登り切ってから、いつもよりも重みを増した扉を押し開くのは、腕力のある私の仕事だった。
扉を開いて最初に感じたのは、冷たい風の吹き込み。
思わず目を細めたところで、後方からは「ひゃ」と、可愛らしい声が聞こえた。
気温の差を強く感じつつ、二人一緒に屋上を覗き込む。
開いた瞳に飛び込んできたのは、白銀の庭だった。
事務所の屋上という限られた、よく知った、しかし今だけは未知の空間。
気付けば、菜々さんが屋上へと踏み出して、真新しい雪の上に小さな足跡を刻んでいた。
数歩を進んで、振り返り、招くように手を差し出す。
「Pさん! 見てください! 雪、もう結構積もってますよ!」
街の明かりと雪明かりに照らされて立つ菜々さんの姿は、ステージに立つアイドルそのものだ。
見惚れるに足る光景で――
「もうっ、Pさんもこっちに来てくださいよ! ナナ一人で味わうには、勿体ないです!」
しかし、戻ってきた菜々さんに手を取られて歩を進める。
今度は、足跡が二人分並んだ。
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