北条加蓮「アタシ努力とか根性とかそーゆーキャラじゃないんだよね」
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:46:23.13 ID:vyCd+JK40
次の日は杏がやってきた。
そのときはちょうど休憩時間だった。もしかしたら休憩になるのを待っていたのかもしれない。
「おー、ヘバってるヘバってる。加蓮ちゃん帰るよー」
以下略
AAS
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:47:14.68 ID:vyCd+JK40
「……努力は無駄ってこと?」
「努力ねー」
杏はあざ笑うように口元をゆがめた。
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:49:04.59 ID:vyCd+JK40
シャワーを浴びて部屋に戻ると、プロデューサーが机になにかの書類を広げ、杏と乃々が横からそれをのぞきこんでいた。
「プロデューサー、いたんだ」
「ああ加蓮、レッスンお疲れさま。今帰ってきたところ」
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:50:41.19 ID:vyCd+JK40
「よし」
「あの、さっき300人とか400人とか聞こえたんだけど、まさかお客さんの数じゃないよね?」
「もちろん客の人数に決まってる」
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:52:04.40 ID:vyCd+JK40
プロデューサーは、打ち合わせがあるとかで再び外に出て行った。
いまいち現実感が湧いてこない。アタシがアイドルとしてライブをする? 本当に?
それに杏も乃々ちゃんも、仕事はしないんじゃなかったの?
「どうなってるんだろ……」
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:53:45.67 ID:vyCd+JK40
プロデューサーの指示により、アタシは今までのレッスンに出るのをやめ、ライブに向けたレッスンに取り組むことになった。
トレーナーさんは呼ばずに、レッスン室が空いている時間を使って部署内だけで行うらしい。
やはりネックとなるのはアタシの実力だけのようで、杏と乃々ちゃんに関しては、誰も、なんの心配もしていないようだった。
「とりあえずいつもみたいにやってみて」
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:54:59.37 ID:vyCd+JK40
次に、アタシが歌う曲を決めることになった。
プロデューサーが見繕ってきた候補曲を流し、みんなで聴いて協議する。
CGプロには何度も所属アイドル同士でカバーしあい、ほぼ共有みたいな扱いになっている曲がいくつもある。その中から、曲の調子や振り付けの難易度、曲自体の知名度などを考慮して選択する。最初はアップテンポで有名なやつがいい、次は落ち着いた曲がいいかもしれない、と2曲はすんなりと決定した。さて、あとひとつはどうしようかと悩んでいたところ、
「あれ? これ、歌は?」
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:56:25.20 ID:vyCd+JK40
ライブで披露する曲が決定したことで、アタシは歌の練習も始めた。
「歌、うまいですね」
最初のボーカルレッスンのあと、乃々ちゃんが感心したようにつぶやくのを聞いて、少し嬉しく思った。ここに来てからちゃんと褒められたのって、これが初めてかもしれない。
以下略
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:57:33.67 ID:vyCd+JK40
「前に双葉が『契約交わしたらアイドル』とか言ってたけど、俺はそうは思わない。最近はそうやって職業のひとつのような言われかたをしているけど、アイドルって本来は偶像って意味で、職種でいうならタレントってのが正しいんじゃないかな」
ある日、アタシのレッスンを見ていたプロデューサーが唐突にそんなことを言った。
「偶像って?」
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 22:59:42.17 ID:vyCd+JK40
ライブ当日、アタシたちはプロデューサーの運転する車に乗って会場に向かった。
会場となるライブハウスは地下にあった。階段は、すれ違うにもひと苦労しそうなくらいせまく、壁には見たことのないバンドのポスターがびっしりと張られていた。
プロデューサー・杏・アタシ・乃々ちゃんの順で一列になって階段を下りていく。一段下るごとに空気が冷えていくようで、この先は地獄にでも続いているんじゃないかと思った。
以下略
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◆ikbHUwR.fw
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2017/12/31(日) 23:01:16.20 ID:vyCd+JK40
ガチガチに緊張してステージに向かうも、実際はお客さんなんて全然入っておらず、なにかの間違いでやってきたらしい、ほんの数人が、アタシになんてまったく興味がないという感じにちびちびとカクテルを舐めている。
――なんてことはなく、ホールは超満員だった。
スポットライトがステージを照らし、歓声が湧き上がる。
以下略
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