北条加蓮「アタシ努力とか根性とかそーゆーキャラじゃないんだよね」
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◆ikbHUwR.fw
[saga]
2017/12/31(日) 22:49:04.59 ID:vyCd+JK40
シャワーを浴びて部屋に戻ると、プロデューサーが机になにかの書類を広げ、杏と乃々が横からそれをのぞきこんでいた。
「プロデューサー、いたんだ」
「ああ加蓮、レッスンお疲れさま。今帰ってきたところ」
「ふーん、ライブハウスか。オールスタンディングでワンドリンク付き……よくあるやつだね。何人ぐらい入るの?」
「300人ってことになってるけど、詰めれば400人いけそうだから400売る」
「お客さん死んじゃいますけど……」
「ステージの近くに行こうとしなければ平気だよ。それでも前に出ようとするなら覚悟ができてるってことで、なにかあっても自己責任だ」
「乱暴だなぁ」
3人がよくわからない会話をしている。
「……なに? なんの話?」
「加蓮もレッスンがんばってることだし、仕事を用意してみた」
「仕事って……え? アタシに?」
「嫌だったか?」
「嫌とかそういうんじゃなくて……ここって仕事をしない部署じゃなかったの?」
「しなくてもいいというだけで、してはいけないってわけじゃない。レッスンはするのに仕事しないってのもおかしな話だろ? いや、仕事しないのにレッスンするのがおかしいのか?」
「ちょっと待って、こんがらがる」
アタシはプロデューサーを制止し、深呼吸をした。
「アタシに仕事をとってきたって?」
「そう」
「昨日今日プロデューサーがいなかったのは、そのため?」
「まさに」
「それは、アタシがレッスンに出始めたから?」
「その通り」
「……仕事って、どんな?」
「ライブ」
「……いつ?」
「2週間後の土曜日」
「そんなの無理でしょ!! アタシ基礎レッスンもろくにできてないんだよ!?」
「じゃあ、やらない?」
プロデューサーは意地の悪い笑みを浮かべていた。
なに考えてるの? だって、ライブって、歌って踊るってことでしょ、お客さんの前で。アタシなんかが、そんなの――
「…………やる」
できるわけがない、と思いながらも、アタシの口はそう答えていた。
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