北条加蓮「アタシ努力とか根性とかそーゆーキャラじゃないんだよね」
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32: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/12/31(日) 22:50:41.19 ID:vyCd+JK40
「よし」

「あの、さっき300人とか400人とか聞こえたんだけど、まさかお客さんの数じゃないよね?」

「もちろん客の人数に決まってる」

「アタシのことなんて誰も知らないよ? そんなお客さん来るわけないでしょ」

「そこのところは……」

 プロデューサーの視線の先には杏と乃々ちゃんがいた。

「……わかっちゃいたけど、杏たちも巻き込むんだね」

「頼む」

「うーん、誠意を見せてほしいかな」

「じゃあこれで」

 プロデューサーは鞄をさぐり、なにか杏に手渡した。飴、のように見えるけど……

「お、この飴は! なかなか心得てるね」

 杏はさっそく受け取ったそれの包み紙をはがし、口に放り込んだ。

「……むしろ心得過ぎだよね、もっとあるんでしょ、出しなよ」

「残りは成功報酬」

「ふうん、じゃあそれでいいよ」

「あの……もりくぼは出るとはひとことも……」

「かわいい後輩の晴れ舞台なんだ、たのむ」

「うう……加蓮さんのためでしたら、仕方ありません」

「あれ?」

 プロデューサーが首をかしげる。

「どしたのさ?」

「なんか、やけにスムーズに引き受けてもらえたなーって。ふたりとも、もっと渋ると思ったけど……」

「まあ、加蓮ちゃんには借りがあるからね」

「そうですね」



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