431: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/22(火) 23:38:26.15 ID:hsFkCUXP0
特に厳しいのは大洗海岸通りの苦境だ。
この方面で深海棲艦による橋頭堡の確保を許せば、港湾部に展開する自衛隊の主戦力と大洗鎮守府が分断される形になってしまう。既に海上からの猛攻によって青息吐息の状況下、陸路からの攻め手が加わればおそらく鎮守府の失陥は免れない。
那珂川以北───ひたちなか市方面からの援護を期待しようにも、向こうは私達以上に防衛戦力配備が遅れている上避難未完両区域も多い。おそらく、先ほど湾内を北上していった敵海上艦隊を艦娘部隊で食い止めるのが精一杯の筈だ。
432: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/23(水) 00:05:49.13 ID:oiVjuCQQ0
『ォアアッ!!』
『ボォオッ!!』
「うわわわわわわっ!!?」
433:名無しNIPPER[sage]
2018/05/23(水) 10:45:26.39 ID:Tij8k25P0
乙!
この状況、防ぎきれる感じがしないんですが
大洗なんかに橋頭保つくられたら東京陥落待ったなしじゃないですか
この大風呂敷どうやって畳むのかワクワクして待ってます
434:名無しNIPPER[sage]
2018/05/23(水) 21:35:50.17 ID:8rEzKPGp0
乙
435: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2018/05/26(土) 21:00:29.81 ID:i92fwNbE0
非ヒト型の深海棲艦、分けても駆逐級の通常種は基本的にヒト型種と比べて遙かに与し易い。……まぁ私は交戦の実体験が皆無なのでなんとも言えないけれど、少なくとも世界中の軍事関係者が口を揃えて断言し、実際に過去の交戦結果にもそれはとして顕著に表れている。
見たところ、私達の前方に上陸を開始している深海棲艦の強襲部隊にリ級やル級の姿は確認できない。最初の襲撃と同じで、先鋒のハ級を含めて全て駆逐か軽巡で構成されている可能性が高い。
そしてシーサイドステーションは甚大な損害を受けたとはいえ、未だ迫撃砲や84mm無反動砲を10門以上保有している。何より、厚さ1メートルの近代特殊装甲をぶち抜けるAPFSDSを30発強も抱えた10式戦車が二台ある。
436: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/26(土) 21:06:31.84 ID:i92fwNbE0
私にとって不幸中の幸いは、自分が戦車の車長で、かつ一人ではないことだった。もしも孤立した上でこの状態に陥っていたなら、きっと順当に二階級特進となっていたに違いない。
「────尉、蝶野一尉!眼ぇさませ、しっかりしろ!!!」
「っ!?」
437: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/26(土) 21:12:32.42 ID:i92fwNbE0
交戦早々に反撃の間を与えない猛攻を展開しての、一方的なハ級撃破。流れとしては一度目の交戦と遜色ない、理想的な滑り出し。
ただし今回の場合、敵艦隊の数が最初と比べて大幅に増えているという難点が存在した。
『『『ァアアアアアアァッ!!!!』』』
438: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/26(土) 21:56:23.60 ID:i92fwNbE0
《第二軽機関銃班通信途絶!》
「1号車より各位、展開地点への砲弾直撃を視認!生存者は確認できず!
怯むな、攻撃の手を止めず撃ちまくれ!!」
439: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/26(土) 22:59:21.04 ID:i92fwNbE0
尤も、今の戦法を維持してもどのみち状況は好転のさせようがない。敵の数は30を越え、深海棲艦一隻の沈黙に此方の砲弾は急所への集中攻撃でも10発前後を要する。それに対して戦車はたったの二両、残弾も各20発強しかない。
『ァアアア……グァ………』
《ハ級一番、沈もk発砲炎を視認!!》
440: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/26(土) 23:28:47.22 ID:i92fwNbE0
M42からの通信は、ヤケクソ気味の悪態で締めくくられる。
一応は納得してくれた彼には申し訳ない話だけど、私が口にした内容は全てが真実ではない。
勿論大洗町、というよりは茨城県沿岸の完全失陥や民間人への被害発生を回避するために、私達が踏み止まらなければならないというのは事実だ。【ダスター】の進言を受けてCPに退却許可を打診したとしても、これが理由で棄却される確率は非常に高い。だけど、そういう状況であることを利用して、私が本当にここに踏み止まりたい理由には触れずにいた。
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