438: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2018/05/26(土) 21:56:23.60 ID:i92fwNbE0
《第二軽機関銃班通信途絶!》
「1号車より各位、展開地点への砲弾直撃を視認!生存者は確認できず!
怯むな、攻撃の手を止めず撃ちまくれ!!」
《《《了解!!》》》
「弾薬装填完了!発射ァ!!」
『オゴォッ!!?』
私が無線機に向かって叫ぶ下で、大隈二曹が主砲の引き金を引く。2号車も同時に轟音を奏で、二発の砲弾が立て続けに最初のハ級に吸い込まれる。
《2号車より1号車、ハ級一番は損害大も敵艦隊の上陸規模は拡大の一途!攻撃の分散をした方がいいのでは!?》
「1号車より2号車、意見具申を棄却!敵艦隊の進軍遅滞は随伴歩兵隊並びに狙撃班に一任、我々は各個撃破に集中する!!」
《……了解!!》
2号車車長の懸念にも、実際一理ある。60mm迫撃砲は口径が小さすぎて深海棲艦に対して力不足に過ぎ、84mm砲も相手が一体、二体ならともかく優に30を越える物量の前には数があまりにも足りていない。単体で敵の火力に対抗し得る──それも到底“互角”とは言いがたい──のは、この拠点においては10式戦車だけだ。
ただ、それすら今は数が不足している。
「一尉、ヒトマルも二両しかないんだし私らは包囲されつつあります!随伴歩兵の援護に回して目標を分けた方がいいと思うっスけど!」
「逆よ、数が少ないからこそ攻撃目標を集中して!私達は敵が態勢を整えきる前に少しでも打撃を与え続ける!」
「了解ッス!」
弾種が貫通力を重視したAPFSDSという点も相まって、今のヒトマルに多数の敵を相手取り制圧できるだけの火力はない。ましてや相手は、図体が大きく戦車の何倍も耐久力と攻撃力がある深海棲艦だ。
たった二両が目標を分散させて敵に攻撃を仕掛けたところで、足止め効果の上昇は微かなもの。寧ろ、敵艦に対する決定力が減退し戦力を削ることができなくなる可能性が高い。
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