クラリス「あたたかで素晴らしい日々に」
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6: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:48:13.02 ID:r5zFZECu0
「先に帰っていいって言ったのに」

 コートを脱ぎながらそう言うと、彼女は少し呆れたような、優しい表情を浮かべる。

「P様がまだ働いていらっしゃるのに、一人だけ先には休めませんわ」
以下略 AAS



7: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:49:45.72 ID:r5zFZECu0
「あー、クラリス」

「なんでしょう?」


以下略 AAS



8: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:51:22.23 ID:r5zFZECu0
 ココアパウダーと少量の牛乳を雪平鍋に入れて、よく練る。

 ペースト状になってきたら、そこに砂糖を加えてもう少しかき混ぜ、弱火にかける。

 少しずつ牛乳を足していき、沸騰する手前で火を止める。
以下略 AAS



9: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:52:58.63 ID:r5zFZECu0
 ココアを作る僕の横で彼女は紙袋から取り出したバゲットを薄く切って、それをオーブンで温めていた。

「どうしてそんなものが?」

 ふと気になって聞くと、薄く頬を染めて彼女が答えた。
以下略 AAS



10: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:54:00.56 ID:r5zFZECu0
 それらをテーブルまで運ぶ。

 テーブルを挟んで向き合う形で、ソファに腰かけた。

「それじゃあ、まあ、今年もお疲れさまでした」
以下略 AAS



11: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:54:54.55 ID:r5zFZECu0
 ココアを一口飲んだ彼女が驚いたように僕を見る。

「なんか味、変だった?」

 心配になって尋ねると、彼女は小刻みに首を振った。
以下略 AAS



12: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:57:39.20 ID:r5zFZECu0
「そうだ、クラリス」

 バゲットを齧りながらアイデアを一つ、思いついた。

 それを少しだけ自分の中で膨らませる。すると、考えるほどに素晴らしいもののように思えてくる。
以下略 AAS



13: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:58:32.46 ID:r5zFZECu0
「まあまあまあ!」

 彼女が驚いた声を上げる。

「ささやかだけど、今年も無事に終わったことのお祝いに」
以下略 AAS



14: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:59:17.22 ID:r5zFZECu0
 出会った当時の彼女は、二十歳だった。

 その時もたしか十二月だった。



15: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:00:30.05 ID:r5zFZECu0
 その年の十二月は、今思い返せばことさら寒かったような気がする。

 都心にも何度か雪が積もったし、なによりも空気が冷ややかだった。

 安物のマフラーと手袋では、誤魔化しきれないほどに。
以下略 AAS



16: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:01:13.40 ID:r5zFZECu0
 そんな中で彼女は、ちかちかと明滅する一本の街灯の下に佇んでいた。


 はっとして僕は、歩くのをやめてその場に立ち竦む。

以下略 AAS



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