6: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 14:48:13.02 ID:r5zFZECu0
「先に帰っていいって言ったのに」
コートを脱ぎながらそう言うと、彼女は少し呆れたような、優しい表情を浮かべる。
「P様がまだ働いていらっしゃるのに、一人だけ先には休めませんわ」
労いの言葉が、心をくすぐってくれるようだった。
「僕だってもう仕事は終わってるよ。いらない荷物を置いたら帰るつもり」
「そうでしたか」
のんびりとした口調で彼女が答える。
「でも、ありがとう。部屋が暖かくて生き返った心地だ」
「でしたら、幸いです」
彼女がいやに静かなのが気になった。
彼女は普段から口数が多い方ではなかったが、それでも今はどこか妙に言葉をおしとどめているような印象を受ける。
なんとなくそう思えるだけだったけど。
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