ガヴリール「悲しみとか痛み、その他ぜんぶ」
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38:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 16:55:25.30 ID:WUZ1iABd0
「……寂しいよ」

「みんなに、会いたいよぉ……」


39:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 16:58:44.25 ID:WUZ1iABd0
思わず声が漏れた。自分のものとは思えない、弱弱しくて小さな声。

最後のほうは、かすれてほとんど聞こえないほどだった。

声に出してしまったらだめだ。小さな穴が空いたダムのように、そこから感情があふれ出してしまう。
以下略 AAS



40:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 16:59:38.32 ID:WUZ1iABd0
「ガヴ、そろそろ帰らないと夜になっちゃうわよ?」

そう、夜。夜の月を見ると、こんな風な優しい声のあいつを思い出してしまう。

「そうよ、風邪でも引いたら勝負ができなくなるじゃないの!」
以下略 AAS



41:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 17:00:22.51 ID:WUZ1iABd0
「……で、いつから見てたんだよ」

私はむすっとして不機嫌を装って聞く。

「ガヴちゃんがタプちゃんたちと別れたところからですね。てっきりおうちに帰るものだと思ってましたが、ルートが逸れたので千里眼で続けて見ていました」
以下略 AAS



42:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 17:01:07.90 ID:WUZ1iABd0
「それで?どうしてみんなして私を監視してたのか、理由を聞かせてもらおうじゃん」

「監視だなんて……まあそう言われても仕方ないか。ごめんね、最初はもっと早く会いに行くつもりだったのよ」

「みんなで集まって、私の千里眼でガヴちゃんのいる場所を見つけて、久しぶりに顔をお見せするつもりでした」
以下略 AAS



43:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 17:01:53.73 ID:WUZ1iABd0
「私さ、一人でもやっていけるって思ってたんだよ。実際下界に降りた頃は一人で生活できてたし」

「……」

「ヴィーネ、そこで微妙な顔をするな!……まあとにかく、みんな実家に帰っても全然平気だと思ってたんだ」
以下略 AAS



44:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 17:02:38.00 ID:WUZ1iABd0
夕日に染まった海を見渡しながら話を続ける。

「この海、覚えてるか?前にみんなで来たことあるだろ」

「ええ、しおりまで作ったんだもの、覚えてるに決まってるじゃない」
以下略 AAS



45:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 17:03:26.11 ID:WUZ1iABd0

「そうだ……私の悲しみとか痛みとか、そういうもの全部を癒して救ってくれるのは」

「……お前たちだけなんだよ」


46:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 17:05:47.04 ID:WUZ1iABd0
全部言い切った。達成感と、解放感。

だけど、この視線と沈黙は……

「……なんだよ。なんか言えよ、お前ら」
以下略 AAS



47:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 17:06:53.74 ID:WUZ1iABd0
潮風と涙で、喉の奥がしょっぱさできゅうっと締まる。目が乾燥して、ぱちぱちとまばたきをする。

「ところでさ、今日はみんなこれからどうする?……帰っちゃうのか?」

「ふふっ、そんな顔してるガヴを置いていけるわけがないじゃない。明日まで下界にいられるように許可もらってきたのよ」
以下略 AAS



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