278: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/09/30(土) 10:32:21.10 ID:ktVirj9S0
加蓮は、離脱時間をもっと延長してもいいのではないか、と考えていた。
最近は体が半身浴に慣れてきたのか、自らが課したルールの30分いっぱいまで離れていても、それほどの疲労は感じなくなっていた。少なくとも前のように翌日のレッスンにまで影響が出るということはない。
不安があるとすれば、お湯の温度だ。30分離脱してから目覚めたとき、お湯はかなり冷めている。あれ以上温度が下がったお湯に浸かっていたら風邪を引いてしまうかもしれない。
だったらお湯を多めに、普通に入浴するときと同じくらいの量でやってみたらどうだろう? 多少は冷めにくくなるはず、だけど体力の消耗は大きくなるかな?
なにごともやってみなくちゃわからない、失敗したら失敗したで、今後の糧にすればいいんだ。だって人生は長いんだから。
279: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/09/30(土) 10:33:08.13 ID:ktVirj9S0
ほぼ一直線に自宅の浴室に戻り、即座に自分の体に飛び込む。
これで目が覚めるはずだった。今まではずっとそうだった。
しかし、今回に限っては、そうはならなかった。加蓮の幽体は、体を素通りした。
揺れで体勢が崩れたのか、加蓮の体はいつもより深く浴槽に沈んでいた。今日は普段より多くお湯を張っていた、その水面は、ちょうど顔の半分あたりにあった。鼻も口も、その下だ。
280: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/09/30(土) 10:33:59.76 ID:ktVirj9S0
その日観測された地震は、震度5強、マグニチュード5.5と発表された。
地震の多い日本では、さほど珍しくもない規模である。これにより、1人の死者と16人の重軽傷者が出た。
大多数の日本人にとっては『いつもの地震』であり、大きな話題になることもなく、忘れられていった。
だが、346プロダクションの内部は、それからずっと重苦しい空気に包まれていた。
地震による人的被害、その唯一の死亡者が、346プロ所属アイドルの北条加蓮だったからだ。
281: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/09/30(土) 10:34:41.33 ID:ktVirj9S0
地震からおよそ1ヶ月が経過した頃、ほたるが事務所を訪れた。
「みんな、久しぶり」と手を振るその顔は、どこか固く、緊張しているように見えた。
ほたるが語ったところによると、この1ヶ月、ほたるは負傷の連絡を受けて見舞いにやってきた母親と共に、鳥取県の実家に帰省していたらしい。休養の理由については、頭部に衝撃を受けたことによる、軽い後遺症が残っていると説明した。
それから数日後、ほたるから担当プロデューサーに「しばらくは仕事は受けずにレッスンに専念させてほしい」と申し出があり、プロデューサーとトレーナーで協議し、これを承諾した。
282: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/09/30(土) 10:35:49.39 ID:ktVirj9S0
その日、ほたるは予定されていたレッスンを終え、事務所をあとにした。
346プロの寮は事務所にほぼ隣接して建てられており、歩いて2分もかからず帰宅することができる。しかし、そのときのほたるは、寮の前を素通りした。
大通りに出たあと、駅とは反対方向の、あまり栄えているとはいえない区画に足を進める。同僚のアイドルたちは、通常このあたりにやってくることはないと、事前に調査を済ませてあった。
ほたるはひとつの建物に足を踏み入れた。
283: ◆ikbHUwR.fw[saga]
2017/09/30(土) 10:36:25.86 ID:ktVirj9S0
終わりッス。
ありがとうございました。
284: ◆LEaEgxSrqk[sage saga]
2017/10/01(日) 03:09:57.60 ID:iKH7pqC/0
テスト
285: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:13:12.92 ID:iKH7pqC/0
投稿させていただきます よろしくお願いします
286: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:14:45.06 ID:iKH7pqC/0
「不老の秘訣」
287: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:16:47.33 ID:iKH7pqC/0
「若いままでいる秘訣、ですか……?」
菜々パイセンは少し困惑した表情で、私の方に顔を向けた。
「そうです!やっぱり菜々パイセンって、お肌つるつるだし動きもきびきびしてるし、17歳を名乗ってるだけあるぅ〜って尊敬してるから、だからこそ、その美の秘訣に迫ろうと!!教えて☆」
288: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:18:22.25 ID:iKH7pqC/0
周りをきょろきょろと確認してから、パイセンと私は空いてる会議室へと向かう。二人とも中に入ると、パイセンは抜かりなく鍵をかけた。
ワクワクはしてるんだけど、なんだろう、思ったより神妙な雰囲気だ。見慣れた会議室なのに、少し肌寒く感じるのは気のせいだろうか。
「誰にも言わないでくださいね」
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