287: ◆lT1JsxjocTLP[saga]
2017/10/01(日) 03:16:47.33 ID:iKH7pqC/0
「若いままでいる秘訣、ですか……?」
菜々パイセンは少し困惑した表情で、私の方に顔を向けた。
「そうです!やっぱり菜々パイセンって、お肌つるつるだし動きもきびきびしてるし、17歳を名乗ってるだけあるぅ〜って尊敬してるから、だからこそ、その美の秘訣に迫ろうと!!教えて☆」
表情をにへらと緩ませながら小さい手を振って、「そ、そんなことないですっ」と頑なに賛辞を受け入れないパイセンも、小動物のようで可愛らしい。
この歳になって、ほぼ同年代の女性を見下ろすなんて事態が起こるとは思わなかったし。……おっと、パイセンは17歳だった。いっけね。アイドルとしてのキャラを重く背負う私達にとって、設定の徹底というのは必須だ。ファンの前だけキャラを演じて、ステージ降りたらはい終わり、ではいつかボロを出してしまう。まぁ、私は出来てないしパイセンは徹底しているのにボロが出る始末なのだが。
それはさておき、パイセンの年齢不詳っぷりは衝撃だ。
体力持つのは一時間と言っても、その間のパフォーマンスは実際の17歳アイドル達に引けをとらない。いや、菜々パイセンは実際17歳であるのだけれども。言葉のアヤである。
そんな彼女のことだ。きっと、いや必ず若さを保つ秘訣があるに違いない。こういうのは瑞樹さんの方が得意分野かもしれないけど、彼女の手法はちょっと、手間がかかるから。三日坊主で揃えた道具を散らかす未来が見える。既に部屋には用途を失った美容グッズが転がり始めている。パイセンに希望を見出しているのは、決してズボラであると思っているからではない。
「教えて欲しいぞ、センパイ☆」
「うーーーーん」
唸りながら首をひねっている。出し惜しみするということは、いやでも期待が高まってしまう。
「……ここだけの話ですよ?」
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