「藤原肇がそれを割る日」
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87:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:27:55.75 ID:dZyp/T120
 東京駅から岡山駅までは、およそ4時間。

 そこから在来線に乗り継ぎ、私の家には着くのは、たぶん夜になるでしょう。


以下略 AAS



88:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:34:00.73 ID:dZyp/T120
 冷静になれば、この新幹線にこだわる必要なんて、無かったんです。

 多少遅くなろうと、何本か遅らせてでも、今日中に――いや、明日でも良かった。

 家に着くことさえ出来れば良かったんです。なのに――。
以下略 AAS



89:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:36:17.21 ID:dZyp/T120
「ここ最近、ずっと口数が少なかったのも……一生懸命、我慢していたんだよね」

 夕美さんは、そっと私の手を取りました。

「口を開くと、抱えてる不安とか、不満とか、嫌な言葉をふとした拍子で皆にぶつけちゃいそうで、それが怖くて……だから、我慢していたんでしょう?」
以下略 AAS



90:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:39:11.93 ID:dZyp/T120
 最寄り駅に着く頃には、辺りは真っ暗でした。

 予め待ち合わせをお願いしていたお父さんの車に急いで乗り込み、家に向かいます。

 夕美さんを乗せて家に行くのは、何度もありましたが、こんな遅い時間に行くのは初めてです。
以下略 AAS



91:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:40:56.57 ID:dZyp/T120
「私、居間で待ってた方が、良いのかな?」

 私の目的が工房にあることを、夕美さんはとっくに察していたようです。

 私は、車を降りて、無言で頷きました。
以下略 AAS



92:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:45:02.20 ID:dZyp/T120
 ――――。


 ――それは、素晴らしい出来映えでした。

以下略 AAS



93:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:47:08.45 ID:dZyp/T120
 誰もいない、ひんやりとした工房で、私はそれを手に持ち、しばらく立ち尽くしていました。

 放心状態と言っても、良かったかも知れません。


以下略 AAS



94:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:48:52.99 ID:dZyp/T120
 急に、自分がすごく、恥ずかしくなりました。


 おじいちゃんの言うとおりです。

以下略 AAS



95:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:49:53.06 ID:dZyp/T120
 こんな結果になるなんて――!

 私は一体、何なんでしょうか。


以下略 AAS



96:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:50:58.56 ID:dZyp/T120
 ッ――――。



 ――――――。
以下略 AAS



97:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:53:38.18 ID:dZyp/T120
「…………夕美さん」


 いつまで経っても工房から出てこない私を、心配したのでしょう。

以下略 AAS



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