「藤原肇がそれを割る日」
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71:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:32:03.62 ID:pXJ6Ifkk0
 ――外で、電車の走る音が聞こえます。

 冬はとても日が落ちるのが早く、まだ17時にもなっていないのに、辺りはすっかり暗くなってきています。


以下略 AAS



72:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:35:57.11 ID:pXJ6Ifkk0
 それからおよそ一ヶ月後――夕美さんから、お誘いを受けましたが、初めて断りました。


 ちょうど、窯詰めの日だったからです。

以下略 AAS



73:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:37:51.92 ID:pXJ6Ifkk0
 いつもお世話になっている窯元は、山奥にある実家の工房から、車で麓まで降りて20分ほどの所にあります。

「おう、藤原さん」

 窯元のご主人は、車から降りたおじいちゃんの側へ歩み寄り、握手を交わしました。
以下略 AAS



74:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:42:31.98 ID:pXJ6Ifkk0
 窯元さんの登り窯には、4つの部屋があります。

 一番下の部屋にくべられた薪火の熱が、順にその上層、陶器を詰めた部屋をかけ登り、煙突を抜けていくのです。

 主な燃料となるのは、油分の多い、岡山県産の赤松の割木を、およそ10トン。
以下略 AAS



75:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:45:00.90 ID:pXJ6Ifkk0
「もうちょい火元の近い所に置くか?」

 ご主人は、私の作品を優先的に配慮し、詰めてくださいました。

「い、いいんですか?」
以下略 AAS



76:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:48:25.86 ID:pXJ6Ifkk0
 4月になり、学校も新学期が始まりました。

 アイドルである私がどのクラスになるのかは、校内の先生や生徒達にとって、高い関心事でもあったようです。

 昨年、仲の良かった子達とは――良かった、同じクラスです。
以下略 AAS



77:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:50:44.89 ID:pXJ6Ifkk0
「トレーナーさんが心配していたぞ。あんなに集中力の無い肇は初めて見るって」

 椅子から立ち上がり、Pさんは私の前で少し屈んで、私の顔を心配そうに見つめました。

「調子悪いようなら、無理しなくていいぞ? 俺から他の子達に代役頼むから……」
以下略 AAS



78:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:53:37.41 ID:pXJ6Ifkk0
 その日のお仕事は、旅行雑誌に使われる写真の撮影でした。

 普段着のまま、等身大の女子大生としての快活な格好で臨む夕美さん。

 一方、それとは対照的に、私は着物姿です。
以下略 AAS



79:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:57:58.95 ID:pXJ6Ifkk0
「?」

 スタッフさん達が、バタバタと慌ただしく動き回っているのが見えます。

 準備は終わっているので、こちらはいつでも撮影は可能なのですが――。
以下略 AAS



80:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:59:37.38 ID:pXJ6Ifkk0
「そうは言われましてもぉ……今日来てくれるカメラさん、なかなか忙しくてですねぇ。
 今日中に撮らないともう原稿の納期にも間に合わないんすよ」

「こっちだって、今日は外せない大事な用事が……!」

以下略 AAS



81:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 00:03:38.73 ID:dZyp/T120
「! …………ッ! ……」



 遠くでスタッフさん達が奔走する声を聞きながら、スタジオの隅の椅子に腰を下ろし、ジッと堪えます。
以下略 AAS



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