「藤原肇がそれを割る日」
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73:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:37:51.92 ID:pXJ6Ifkk0
 いつもお世話になっている窯元は、山奥にある実家の工房から、車で麓まで降りて20分ほどの所にあります。

「おう、藤原さん」

 窯元のご主人は、車から降りたおじいちゃんの側へ歩み寄り、握手を交わしました。

「今日はワシのだけでなく、孫のモンもひとつ面倒見て欲しい」
「分かってますよ、むしろそっちが本命でしょ?」

 チラッと、ご主人がおじいちゃんの後ろに目をやります。


 それを両手に抱え、モソモソと車から降りる鈍臭い私を見て、ニヤッと笑いました。

「肇ちゃん、しばらくだね。雑誌見とるよ、全国ネットに出るのもそろそろかい?」

「私は……いえ、今日はそんなことより」
「ハッハッハ、分かっとる分かっとる」


 それを渡すと、ご主人はまじまじと見つめ、ため息を漏らしました。

「ほぉ……いや〜若いコの感性ってのぁ、さすがにすごいね。どう焼き上がるか楽しみやわ」



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