「藤原肇がそれを割る日」
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71:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 23:32:03.62 ID:pXJ6Ifkk0
 ――外で、電車の走る音が聞こえます。

 冬はとても日が落ちるのが早く、まだ17時にもなっていないのに、辺りはすっかり暗くなってきています。


「……今日は、そろそろ失礼します」

「そうだね……明日も、早いしね」

 私の住んでいる寮は、夕美さんの家から30分も離れていません。


「今日は、あの……本当に、すみませんでした」
「な、何言ってんの! 私こそ、何だかごめんね。ヘンだったよね」

「いえ、本当に……でも、これだけは、言わせてください」


 私は、たぶん今日初めて、夕美さんの目をしっかり見ました。

「私の気負いは、夕美さんのせいでは、決してありません。いつか……ちゃんとした形で、お見せします」


「ありがとう、肇ちゃん」

 別れ際、夕美さんはようやく、穏やかな笑顔を見せてくれました。



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