72:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:08:53.46 ID:xy6mxyet0
五月雨は頬を赤めてそう言った。
恥ずかしそうにする態度に私は思わず「かわいい」と小さく呟いてしまった。
よく分からない理由ではあるが、まぁ、少しくらいは貸してあげてもよいだろう。
「そ、そうか。午後には柱島に連絡するから、昼食頃には返してほしい」
私はそう言って、五月雨に指輪や手紙が入った小箱を渡したのであった。
73:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:09:48.02 ID:xy6mxyet0
その日の午前中は、五月雨は欠番であり、妹は北上として隣島の竹ヶ島泊地の軽巡の子と一対一の演習をしていた。
私は桟橋に行って、双眼鏡を片手に演習を見守る。
北東に二海里の地点で、妹の北上と軽巡名取が砲撃戦を展開していた。
向こうの泊地の名取も新人なのか若干足取りがおぼつかない様子であった。
74:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:10:42.12 ID:xy6mxyet0
と、私の後ろで聞き覚えのあるハスケィボイス。
「吹雪の指輪、見つけたそうですね」
明石中佐であった。
「ああ、昨日の夜、北上が見つけてくれた」
「そうですかい。まさか、まだ部屋にあるとは……」
75:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:11:48.34 ID:xy6mxyet0
「中佐は、どこかのアニメ映画の女性整備士に似ている……」
私は前を向きながら、そうぽつりと口にした。
「……女の整備士は初めてかい?」
「……いえ、前にもどこかで」
お互いに微笑。
76:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:12:31.18 ID:xy6mxyet0
妹と名取の演習が終わり、私は一足先に司令部庁舎に戻っていた。
ちょうど、二階に上がったとき、奥の自室へと向かっていた五月雨が見えた。
五月雨は私に気付いてあわてて振り返ると、つまずき、転んだ。
ドジすぎないか。でもそんなとこでドジをするのが五月雨なのである。
77:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:13:13.14 ID:xy6mxyet0
「五月雨、大丈夫か。何かすごいすりむいたみたいだけど……」
「あ、いえ、大丈夫です! こんなの入渠すればほほいのほいですから!」
そういうと、五月雨はいそいそと、階段を降りて入渠施設へと走っていった。
「あ、五月雨ちゃんただいま〜。あれ、スカートに血ついてるけど大丈夫??」
「う、うん、大丈夫! 今から入渠してしてくるから!」
78:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:14:12.77 ID:xy6mxyet0
それから十五分くらいして、司令室をノックする音が。
「どうぞ」
「五月雨です! しつれいしますね」
そう言って五月雨が部屋に入ってくる。
79:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:14:41.15 ID:xy6mxyet0
と、「北上入るよ〜」の声とともに、こんどは妹が司令室に入ってきた。
「あ、五月雨ちゃんも来てたんだ〜。司令官、机の引き出しに入ってた吹雪ちゃんのもの持ってきたよ〜」
そう言って、妹は紙袋を私の執務机の上に置く。
「そういえば、私も吹雪さんのケッコン指輪返しにきました! 司令官、ありがとうございます!」
北上に続き、五月雨もスカートのポケットからケッコン指輪の小箱を私に差し出した。
80:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:15:35.03 ID:xy6mxyet0
「あ、そういえば、司令官。吹雪ちゃんのネックレスって、もしかしてもう持って行った?」
北上がふいとそんな事を尋ねた。
「ネックレス? そんなもの持って行ってないよ。だいいち、部屋に鍵かかってるから私は入れないだろ」
「そうだよね〜。今朝みたときは確かにあったはずなんだけど〜。五月雨ちゃんは知らない?」
「北上さんからネックレスの話は聞いたけど、私は知らないよ。どんなものかもまだ見てないし、部屋に入る鍵もないもの」
81:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:16:54.88 ID:xy6mxyet0
「あ、明石中佐? もしかして、北上の部屋からネックレスを持っていったりした?」
「持って行ってないですよ。そもそもそういうの興味ありませんし。でもなぜ?」
「いや、指輪の件で、ほかにも防身銃と腕時計とネックレスが今朝まではあったんだが、ネックレスがさっき見たときは無くなってたから……」
「そうですか。まあ、私は前任司令官時代からいたから少佐は疑ってるのでしょうが、私は本当に知りませんよ。
それに、さっきまで一緒に北上さんの演習を一緒に見ていたじゃないですか」
82:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:17:33.52 ID:xy6mxyet0
私はそれから二人を退出させ、柱島に指輪の件について電報を打電した。
すると直ぐに返電があった。
『そういう報告を待っていた。
ついては本日十三時より、本泊地人事部と貴泊地司令官との電話会談を求む。
猶、会談内容は秘匿事項もあるので外部に漏れない様注意せよ』
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