105:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:43:59.22 ID:xy6mxyet0
「五月雨ちゃんは純粋だね〜。私の負けだよ。五月雨ちゃんみたいにもっと純粋になるわ」
妹よ、お前には五月雨のような純粋さは無理だ。
でも、妹も性格に裏表はないから、そう言う意味では純粋か。
何だかんだ言って素直だし……。
「って、司令官どうしたの? 私になんか用?」
106:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:44:39.10 ID:xy6mxyet0
その日の夕食は自分でカレーを作ることにしたが、結局、隣には五月雨がいる。
「別に休んでいてもいいんだよ。昨日も昼に手伝ってくれたし」
「いえ、私がここの皆さんのお腹事情を一番しってますから! それに、あんなこと司令官に言われたら隣にいたくなります!」
私はそれを言われて顔が赤くなってしまった。五月雨が家族か……。
107:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:45:28.68 ID:xy6mxyet0
「……司令官、どうしたんですか??」
「あ、いや……五月雨は妹と会ったりラインとかで話したりしてるのかなと思って……」
「……最近は会ったり話したりしてないです。お互い忙しいですし……」
「そうか……休番日とかは、会いに行ってもいいんだよ。妹さんも柱島泊地の所属だよね?」
「うん、そうです。……平群島泊地にいます」
108:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:46:25.26 ID:xy6mxyet0
「それで、司令官の妹さんは今なにをされてるんですか??」
――そこにいる。が、それは上官の命令でアウトだ。
カウンタ席に座った妹もその質問を聞いていたのか、私に視線を据えていやがる。
「え、あ、妹とはあまり連絡とってなくてね。
大学受験うまくいかなくて二浪してて、今年三月の時点でもうまくいってないって聞いたから三浪してるんじゃないかな、あははは……」
109:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:47:17.18 ID:xy6mxyet0
「ですよね〜。私の妹もかわいくてしょうがないです!
あっ、北上さんは兄弟とかいるのかなっ??」
妹は突然の問いにあたふたする。
「えっ、あっ、私? 私はおにいちゃ、あ、兄がいるよー」
「北上さんってお兄ちゃんって呼ぶの!? かわいい!」
110:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:48:23.99 ID:xy6mxyet0
「そ、そうなんだね。でも、お兄ちゃんとか私も欲しかったな〜」
私がなってもいいんだよ。と言いたいところだがそれはやめておいた。
そうこうべらべらお喋りしている裡に、ざっと6人前はあるであろうカレーができたのであった。
111:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:49:22.31 ID:xy6mxyet0
夜、私は明石中佐にカレーを届けに司令部庁舎を出て工廠に向かった。
工廠の前に立つと、私はインターホンを押す。
明石中佐はすぐに出てきた。
112:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:50:35.97 ID:xy6mxyet0
「……身近な人がいなくなるという経験を私はまだ経験していないけれど、想像しただけで怖い……」
「そう、他人の死は寂しさや悲しさ、孤独を感じさせるだけでなく、自分の死を彷彿させるので怖いことです。
私らが無限でないことを教えてくれるから……」
「はい、中佐が少し前にそれに遭ったと思うと居た堪れない」
「でも、艦娘というのは、轟沈した後は深海棲艦となります。
113:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:52:05.54 ID:xy6mxyet0
「あ、ああ」
珍しく明石中佐は熱く隣で語っていた。
アカトゥルフにはそれが子守唄に聞こえているらしく、中佐の足元で丸くなって寝ている。
「人が『死』を真に恐れるのは、死ぬまでの痛みや過程とかではなくて、自分自身の積み上げた全てが崩壊して無に帰すからです。轟沈も同じです。
――果たして、身体という入れ物は一緒でも、自我や記憶を失ったあとに作られる『自分』は轟沈する前の『自分』と一緒でしょうか?」
114:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:53:05.67 ID:xy6mxyet0
「……中佐は仲間想いなんだな」
それを聞いた明石中佐は煙草を口から離すと、笑わせないでくれと言うように鼻で笑った。
「私がですか? そんな事ないですよ。
少佐も知っての通り、私は一人で行動する事が多いですし、それに、本当に仲間想いならこの事件を防げた筈です。
仲間想いなら私が疑われるような事はない筈です……!」
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