111:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:49:22.31 ID:xy6mxyet0
夜、私は明石中佐にカレーを届けに司令部庁舎を出て工廠に向かった。
工廠の前に立つと、私はインターホンを押す。
明石中佐はすぐに出てきた。
「あ、少佐ですか。こんばんは。どうされたんですか?」
「今日の夕食のカレーを届けにきた。六人前つくったんだが、なんか食べすぎたのか、一人前しか残らなかった。申し訳ない」
「いえいえ、気にしなくて大丈夫ですよ」
そう言って、明石中佐は紙袋に入ったステンレス製の弁当箱を受け取る。
「あ、あと……、これまで考えずあの事を色々訊いてしまって、ごめんなさい!」
私は明石中佐に頭を下げる。
「……前任司令官や事件のことを聞いたんですか」
「はい……」
明石中佐はちょっと待っててと言い、カレーの入った紙袋を部屋に戻すと、過熱式煙草と煙草の箱を右手に工廠から出てきた。
一緒にロシアンブルーのアカトゥルフも出てくる。
「私は大丈夫ですよ。ただ、上官から命令されていたので、話さなかっただけです」
そう言って、煙草を過熱式煙草に刺すと、それを口に持っていった。
「でも、色々と辛い経験をされたと思う……」
「ええ、事件のあとは辛かったです。六人一気に失いましたからね」
明石中佐は工廠の壁によりかかり、煙草を一旦口から離すとため息を吐いた。
薄らと白い煙が口から漏れる。
私と明石中佐の間にはアカトゥルフが座り、夜空を眺めている。
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