112:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 23:50:35.97 ID:xy6mxyet0
「……身近な人がいなくなるという経験を私はまだ経験していないけれど、想像しただけで怖い……」
「そう、他人の死は寂しさや悲しさ、孤独を感じさせるだけでなく、自分の死を彷彿させるので怖いことです。
私らが無限でないことを教えてくれるから……」
「はい、中佐が少し前にそれに遭ったと思うと居た堪れない」
「でも、艦娘というのは、轟沈した後は深海棲艦となります。
そしてそれを轟沈させればまた人間として戻ってきますし、そう考えれば死とは違います。
この世に存在している訳ですから。
つまり、また、何処かで会えるかもしれませんし、前向きに捉えれば自分自身の抱える辛さは乗り越えられます」
そして、合間を挟んで中佐は煙草を吸う。
「……そう言う訳で、轟沈というのは、結局は沈みゆく子達の方が残される者達よりもずっと辛いんですよ。
いくら、轟沈したあと深海棲艦となって、そしてまた轟沈されて人間として戻って来たとしても、記憶が無くなってしまえば、それはもう死ぬ事と変わりないじゃないですか。
ごく希に、深海棲艦になった時やその前の記憶を持っている艦娘がいますが、大抵の子達の記憶やこれまでの思い出は轟沈時に失われます。
これまで積み重ねたものや記憶、思い出、そして自我や性格すべてが轟沈と共に無になるのです。
――これって、『死』と変わりありませんよね?」
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