佐藤心「太陽になりたい」
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2:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 11:57:37.44 ID:xtDe7XNk0
 僕の携帯がなったのは夜の9時すぎ。お風呂上がり、冷蔵庫から麦茶を取り出して、今まさに読書を始めようとしていたときだった。
 画面に表示されたその名前から、相手がにゃっとした笑みを浮かべながら僕に電話をかけてきていることが安易に想像できた。
 僕はため息を一つついてから電話に出た。

「こんばんわー☆いい子にしてたか?」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 11:59:56.73 ID:xtDe7XNk0
「海?」と僕は聞き返した。「何をしに海に行くんですか」

「泳ぎに」と答えたはぁとさんに僕は再び聞き返した。

「泳ぎに?だってまだ7月になったばかりですよ?海開きしてないですよ」
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:03:03.02 ID:xtDe7XNk0
「のん!そんなの全然スウィーティーじゃない!
 いいかよく聞け☆聞いて☆暑い中海まで行って泳ぐってのが最高にスウィーティ―なの」

「そういうものなんですか」
「そういうものなの!」
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:04:23.91 ID:xtDe7XNk0
「あのね。真面目な話になるんだけど、はぁとの出身地どこか覚えてる?」
「長野ですよね」
「うん。正解。長野県ってプロデューサーが知ってるかどうか知らないけど、海ないの。
 だから子供のころからずっと海に憧れていたの」

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:06:45.72 ID:xtDe7XNk0
☆☆☆

 はぁと。もちろん本名ではない。本名は佐藤心。
 心と書いて、『しん』と読む。はぁとさんが言うには、親がめんどくさがりだったらしい。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:09:05.67 ID:xtDe7XNk0
 はぁとさんの担当に決まったとき、僕は頭を抱えた。プロデュースの方法がわからなかったのだ。
 王道の正統派アイドルならまだしも、僕よりも年上で、
 アイドルよりどちらかというと芸人気質な彼女を輝かせるのは新卒のぺーぺーである僕には難しすぎた。

 二人して仕事のない日々が続いた。僕は一日の大半を事務室で、はぁとさんはレッスン室で過ごした。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:11:56.17 ID:xtDe7XNk0
「アイドルはね。はぁとの夢だったの。憧れだった。
 小さいときに目の前でアイドルのお姉さんを見た時に感動したの。
 すごくキラキラしてて眩しくて。私もこんな風になりたいって思ったの。
 だからどうしてもアイドルになりたかった。確かに今は崖っぷちかもしれないけど、それでも今がすっごく楽しい」

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:15:05.00 ID:xtDe7XNk0
♪♪♪

 そのはぁとさんは朝の6時に僕の家にやってきた。
 僕ははぁとさんが何度も鳴らすインターフォンの音でたたき起こされた。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:20:07.72 ID:xtDe7XNk0
 モニタを切り、僕は身支度を整える。はぁとさんといるといつもこうだ。
 周りから見ても、僕自身から見ても、僕はいつもはぁとさんに振り回されている。

 スニーカーを履き、ドアを開けた。夏の陽射しが降り注いで、僕は目を細める。
 今日はいつも以上に熱い一日になりそうだとため息をついてから、柄にもなくはぁとさんの元へと走りだす。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:22:09.92 ID:xtDe7XNk0
「どうしたんですか。これ」
「海いくって言ったら、ちひろちゃんが貸してくれた♪」
「あの千川さんがですか」と僕はあくびをしながら言った。

「なに、プロデューサー、昨日眠れなかったの?」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:25:04.38 ID:xtDe7XNk0
☆☆☆

 鍵を回すと、アイドル事務所の車らしく、所属しているアイドルの子たちの曲がかかりはじめた。
 ナビの目的地に海を設定し、車を走らせる。はぁとさん曰く、

以下略 AAS



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