13:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:27:33.37 ID:xtDe7XNk0
「明日うちのプロデューサーと海行くから車貸しておくれ☆って頼んだら、
楽しんでくださいねって簡単に貸してくれたぞ」
「それは事務員としてどうなんですか」
「うーん、わかんない。でもちひろちゃんはいい子だぞ。アイドルの子たちのことすごく気にかけてくれてるし」
「その優しさをプロデューサー達にも与えてくれるよう言ってくれませんか」
14:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:30:12.93 ID:xtDe7XNk0
神谷奈緒ちゃんの曲が終わると、
はぁとさんは何かに気づいたようで、「おっ」と声をあげ、窓を全開にした。
暑さが充満した車内に夏の風が一気に吹き込んでくる。
風にかき消されないように声のボリュームを少し上げて僕は聞いた。
15:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:32:44.44 ID:xtDe7XNk0
短いトンネルだったのか、すぐに出口の明かりが見えてきた。僕はサンバイザーを構える。
強烈な太陽の光が車内に降り注ぐと同時に、はぁとさんが声をあげた。
「プロデューサー!」
16:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:36:04.52 ID:xtDe7XNk0
♪♪♪
駐車場に車を止める。
車のトランクにははぁとさん持参の海を楽しむための荷物がたくさん入っていたけれど、どれも下さなかった。
僕とはぁとさんの目の前で広がる海は、陽の光をたくさん浴び、
17:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:38:29.07 ID:xtDe7XNk0
「ねぇプロデューサー。泳ごっか」
足でぱしゃぱしゃと海水を鳴らしながらはぁとさんが言った。
「確かに泳いだら気持ちよさそうですけど」と僕は言った。
18:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:41:15.13 ID:xtDe7XNk0
「さぁて。泳ぐぞー☆」
そういうと、タンクトップにフレアスカート姿のはぁとさんはそのまま海に飛び込んだ。
二人きりの海に水の音が高らかに響いた。
19:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:43:54.22 ID:xtDe7XNk0
「ちょっと!はぁとさん!」
「あはは!プロデューサー、水も滴るいい男じゃん☆かっこいいぞ☆」
「今日という今日は怒りました。覚悟してくださいね」
「やだープロデューサーこわーい♪はぁと襲われちゃうー」
20:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:45:40.76 ID:xtDe7XNk0
☆☆☆
車が汚れないようにと、はぁとさんが持ってきたタオルをシートに敷いてから僕はキィを回した。
行きのときと同様に、アイドルの曲がかかりはじめる。
21:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:47:30.35 ID:xtDe7XNk0
高速道路を抜け、車が市街地へと入りだしたころ、ステレオの曲が変わり、はぁとさんが声をあげた。
「あっ!『sun♡flower』だ!」
「聞いて!聞いて!」と言いながらはぁとさんはボリュームを上げる。
22:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:49:28.53 ID:xtDe7XNk0
「こんな私をずっとプロデュースしてくれて。
夢にまでみたアイドルになって、それだけでもプロデューサーには感謝の気持ちでいっぱいなのに、
はぁとをCDデビューできるアイドルまで育ててくれた。
アイドルになりたてで仕事も全然なかったとき、はぁとに何も言わなかったでしょ?あれすごく嬉しかったんだ。
普通の人なら、アイドル向いてないよとか、アイドルやめろとか言いそうなのに、プロデューサーは黙って待っててくれた。
23:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:51:28.96 ID:xtDe7XNk0
ふいに僕はプロデューサーとアイドルということを忘れて、はぁとさんの笑顔を独り占めしたくなった。
手を伸ばせばすぐ届きそうなはぁとさんの右手を握り、好きですと伝えてしまいたくなった。
夏の空気が車の中に満ちていた。
太陽と海とはぁとさんの匂いが僕の身体をこれ以上ないくらい熱くした。
29Res/23.39 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20