14:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:30:12.93 ID:xtDe7XNk0
神谷奈緒ちゃんの曲が終わると、
はぁとさんは何かに気づいたようで、「おっ」と声をあげ、窓を全開にした。
暑さが充満した車内に夏の風が一気に吹き込んでくる。
風にかき消されないように声のボリュームを少し上げて僕は聞いた。
「どうかしましたか?」
「海の匂いがする」
「海の匂いですか」
僕は鼻を鳴らし、左の方をわき見する。
匂いはしないし、肝心の海も道路沿いに生えているたくさんの木が邪魔していて全く見えない。
ナビを見ると確かにもうすぐ着くと書かれているけど。
「本当に海の匂いします?」
「するよ!これは間違いなく海の匂いだって」
僕はもう一度鼻を鳴らす。やっぱりよくわからない。
「間違いないって。はぁとのスウィーティ―な勘がそこに海があるって告げてるんだもん」
「どんな勘ですかそれ」
車はトンネルへと入った。窓を閉めて、そこで初めて会話がつきた。
僕は運転しながら隙をみては鼻を摘まみ、
そもそも海の匂いっていったいどんな匂いなんだと考えていた。
はぁとさんは横で「はぁとの勘は当たるって評判なのに」と口を膨らませていた。
おそらく大したことは考えていない。
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