15:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:32:44.44 ID:xtDe7XNk0
短いトンネルだったのか、すぐに出口の明かりが見えてきた。僕はサンバイザーを構える。
強烈な太陽の光が車内に降り注ぐと同時に、はぁとさんが声をあげた。
「プロデューサー!」
トンネルに入るまであった木々はすっかりなくなっていて、窓一面に夏の海が映っていた。
それは現実の景色のはずなのに、僕には馴染みのない、見たことのない景色だった。
青空の下の夏の海。窓を通して見るそれは、額縁に収めた一枚の風景画のようだった。
今ならもしかしてと僕は窓を開け、鼻を鳴らした。その様子を見てはぁとさんはくすりと笑った。
「どう?海の匂いした?」
「いえ全く」
「もう!でも、はぁとの勘が正しかったじゃん!ほら!謝って!」
はぁとさんは笑いながら僕の肩を叩いてくる。
「すいません。てか運転中です!あぶないですってばはぁとさん!」
「ごめんごめん☆ついはしゃぎすぎちゃった」
はぁとさんは窓を全開に開けると身を乗り出すように、海に向かって叫んだ。
「うーみーだー!」
夏の風がはぁとさんの匂いを運んでくる。
海の匂いはわからないのに、はぁとさんの匂いはわかります。
そんな言葉が頭に浮かんで、僕はアクセルを少し強く踏み込んだ。
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