2:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 11:57:37.44 ID:xtDe7XNk0
僕の携帯がなったのは夜の9時すぎ。お風呂上がり、冷蔵庫から麦茶を取り出して、今まさに読書を始めようとしていたときだった。
画面に表示されたその名前から、相手がにゃっとした笑みを浮かべながら僕に電話をかけてきていることが安易に想像できた。
僕はため息を一つついてから電話に出た。
「こんばんわー☆いい子にしてたか?」
夜だというのにやけにハイテンション。声からは大人の女性の慎ましさというものが欠片も伝わってこない。
僕はもう一度、今度は電話相手にも聞こえるように大きくため息をついた。
「あ!露骨なため息!ひどい!夜にこんなスウィーティ―なアイドルから電話かかってきたっていうのに何その反応。傷つきました。慰謝料を請求する!」
僕の方が慰謝料を請求したい気分である。
持っている文庫本に栞を挟み、ベッドスタンドに置いた。ようするに僕は諦めたのだ。平穏な夜というものを。
「それで何のようですか、はぁとさん」
電話越しの、僕の担当アイドルであるはぁとさんはこう答えた。
「明日、海いこう☆いくぞ☆」
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