【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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66: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:08:42.79 ID:y1IM1Nwt0
しばし二人の間には、ぽっぽっぽっと鳴くハトの声だけが響く時間が訪れた。
男が飲み干した缶ジュースをベンチの上にトンと置き、紬に向けておもむろに訊いた。
67: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:10:10.00 ID:y1IM1Nwt0
男が、フッと紬から視線を逸らす。
「売り込むまでは俺の仕事。でも、そこから先に俺は行けない。
……だからこそ手がけることになった商品は、納得いくまで調べ上げる」
68: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:11:44.15 ID:y1IM1Nwt0
その時だった。
紬の顔が悲愴に歪み、「愛嬌だけじゃ、ダメなんですっ!」男の言葉を遮って、紬が大きく声を上げた。
69: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:13:47.62 ID:y1IM1Nwt0
「小さい頃は、気づかなかった。ただ店に立っているだけで、愛想を撒いているだけで、私は役に立っていると思ってた。
でも、容姿が良いとか、愛嬌があるとか、そんなことだけで客足が伸びるワケが無い」
途切れ途切れの告白は、次第に涙混じりの声に変わっていく。
70: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:15:12.17 ID:y1IM1Nwt0
「プロデューサー」
ガラス玉のように澄んでいる、彼女の瞳が濡れている。
71: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:17:17.05 ID:y1IM1Nwt0
「紬。君をスカウトした理由、俺はまだ話してなかったな」
男の言葉は、ただ流れる。受け止めるべき少女はいまだ、涙を流して座っている。
72: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/20(木) 20:18:22.30 ID:m7NIKWsF0
===
泣き出してしまった紬だが、癇癪を起したワケでは無いのは男にとって都合が良かった。
ヒステリックとまでは言わないが、感情を爆発させるようにぶつけて来る
73: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/20(木) 20:20:08.94 ID:m7NIKWsF0
「とはいえ、そんなことはちょっと会話すればすぐ分かる。
他にも好きなことに嫌いなこと、家族構成に友人関係。
将来はどんなアイドルになりたいか……
74: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/20(木) 20:21:43.31 ID:m7NIKWsF0
売り言葉に買い言葉。男がにやけ笑いを浮かべたので、
紬はまんまと乗せられたことに気がついた。
とはいえ、今さら撤回するのも自分のプライドが許さない。
75: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/20(木) 20:22:40.01 ID:m7NIKWsF0
紬は軽く瞼を閉じると、大きく息を吸って吐いた。
落ち着くための深呼吸。再び男の顔を見上げ、彼女は静かに訊き返す。
「……なぜです? 理には適っていると思いますが」
76: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/20(木) 20:23:55.27 ID:m7NIKWsF0
男の言葉に、紬は少々驚いた。
新人である紬はまだ、先輩である千早とはそう親しい間柄であるとは言えない。
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