【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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76: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/20(木) 20:23:55.27 ID:m7NIKWsF0

 男の言葉に、紬は少々驚いた。

 新人である紬はまだ、先輩である千早とはそう親しい間柄であるとは言えない。

 それでも顔を合わせば快く挨拶ぐらいしてくれるし、
 手が空いている時はレッスンだって見てくれる。

 なにより普段の彼女は物静かではあるものの、
 いつも柔和な微笑みをたたえて後輩たちを見守っている人なのだ。

 ……そんな彼女が、仕事を回されて不機嫌に? 想像もつかないことである。

「静香も困ったもんだったよ……君が入る前の話だけどね。
 アイドルとしての明確なビジョンが固まり過ぎていたもんで、現場での融通が効かない効かない」

「静香さんが?」

「おまけにすぐに緊張する。当然本番じゃパフォーマンスも硬くなって、練習の成果を発揮するどころの話じゃない」

「も、もう一度伺いますが、本当に静香さんが?」

「そうだよぉ。未来や星梨花が居なかったら、今頃どうなってたことか」

 まるで昔話を聞かせる老人のような語り口だが、内容は洒落になっていない。

 それはつまり、紬の知っている最上静香が――今では先輩たちにも負けず劣らず、
 堂々としたステージをこなす彼女がだ――アイドル生命の危機に瀕していたという話だったのだから。


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