【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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69: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:13:47.62 ID:y1IM1Nwt0
「小さい頃は、気づかなかった。ただ店に立っているだけで、愛想を撒いているだけで、私は役に立っていると思ってた。
でも、容姿が良いとか、愛嬌があるとか、そんなことだけで客足が伸びるワケが無い」
途切れ途切れの告白は、次第に涙混じりの声に変わっていく。
「実際、ここ数年で新規のお得意様なんて、片手で数えるぐらいしか。
古くからのご贔屓さんが居なくなれば、家の経営は尻すぼみ。
消えゆく文化と言ってしまえば、それだけの話かもしれませんけど……」
痛々しいまでの紬の姿を目の当たりにして、男はある一つのことにピンときた。
彼女が事あるごとに見せていた、責任に対する強い執着。
気丈な振る舞いの奥底に、しまい込まれていたそれは。
「……紬は、家業に誇りを持っているんだな」
その一言が、どれほど彼女に響いたのかは分からない。
しかし、「はい」と震える声で返事した、紬がそっと顔を上げる。
その頬には、流れたばかりの一筋の涙。
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