【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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66: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:08:42.79 ID:y1IM1Nwt0
しばし二人の間には、ぽっぽっぽっと鳴くハトの声だけが響く時間が訪れた。
男が飲み干した缶ジュースをベンチの上にトンと置き、紬に向けておもむろに訊いた。
「着物を売るのは、難しいかい?」
「そう……ですね。最近は、そもそもの需要が減っていますし」
「だろうね。さっきも言ったけど、人が着物を着る機会ってのは減ってるし……。
着物は君たちと違ってさ、自分からアピールだってできないもんな」
「……当然です、生き物では無いのですから」
「だったらほら、答えはもう出てるじゃないか」
言われた紬が、「意地の悪い人」と男のことを睨みつける。
それは敵意や悪意を剥き出しにしたような厳しい視線ではなくて、
あくまで拗ねた子供が向けるような、抗議の視線に近かった。
そんな訴えるような反応に、いけずな男は困ったように返事する。
「確かにアイドル達を売り込んで、仕事を取って来るのは君の言う接客と似ているところもあるかもしれない。
ごり押ししたり、低く出たり、誰かと抱き合わせで出演させてもらったりさ」
「やっぱり……そう、ですよね」
「ただ、それだけじゃ終わらないんだよな。売れたら売れた、それっきりになる着物と違って生き物だから。
彼女たちにしてみれば、買われてからが勝負なんだ」
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