【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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61: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/18(火) 19:51:21.45 ID:y1IM1Nwt0
男が、顎を掻きながら問いかける。
「それはつまり、お家の仕事が……手伝いなんかが、嫌だったって話かな」
62: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/18(火) 19:53:15.00 ID:y1IM1Nwt0
===
「私はプロデューサーというお仕事に、多少の敬意を抱いています」
おずおずと語り始めた紬の言葉に、男が面食らったような顔になった。
63: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/18(火) 19:55:01.40 ID:y1IM1Nwt0
釘を刺すように言われた男が「むむむ」と唸る。
彼はしばらく難しい顔で考え込むと、ポンと膝を叩いてこう言った。
「つまり紬が俺に言いたいのは、ファンと恋愛させてくれ?」
64: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/18(火) 19:56:04.79 ID:y1IM1Nwt0
「おまけに人の言うことには調子良く、美人と見ればすぐ鼻を伸ばし、
暇を見つけては率先して劇場の人たちと遊び出す」
「う、うん」
65: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:07:01.17 ID:y1IM1Nwt0
「それじゃ、あの……着物の話に戻ろうか」
「私はずっと、その話題について話しています」
66: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:08:42.79 ID:y1IM1Nwt0
しばし二人の間には、ぽっぽっぽっと鳴くハトの声だけが響く時間が訪れた。
男が飲み干した缶ジュースをベンチの上にトンと置き、紬に向けておもむろに訊いた。
67: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:10:10.00 ID:y1IM1Nwt0
男が、フッと紬から視線を逸らす。
「売り込むまでは俺の仕事。でも、そこから先に俺は行けない。
……だからこそ手がけることになった商品は、納得いくまで調べ上げる」
68: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:11:44.15 ID:y1IM1Nwt0
その時だった。
紬の顔が悲愴に歪み、「愛嬌だけじゃ、ダメなんですっ!」男の言葉を遮って、紬が大きく声を上げた。
69: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:13:47.62 ID:y1IM1Nwt0
「小さい頃は、気づかなかった。ただ店に立っているだけで、愛想を撒いているだけで、私は役に立っていると思ってた。
でも、容姿が良いとか、愛嬌があるとか、そんなことだけで客足が伸びるワケが無い」
途切れ途切れの告白は、次第に涙混じりの声に変わっていく。
70: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/07/18(火) 20:15:12.17 ID:y1IM1Nwt0
「プロデューサー」
ガラス玉のように澄んでいる、彼女の瞳が濡れている。
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