1: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:09:34.25 ID:pDk4sywp0
ガヴリール×サターニャ
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:10:27.83 ID:pDk4sywp0
これは天使と悪魔の不器用な恋の物語である。
3: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:13:56.07 ID:pDk4sywp0
001
ありえないことが起きた。
一体なにがあったのかを説明する前に、まず簡単に、申し訳程度に自己紹介をさせてほしい。
そうすることで多少は私も冷静になれるだろう、言わば核心に触れる前のワンクッションというやつだ。
4: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:16:02.08 ID:pDk4sywp0
私がかろうじて天使という体裁を保っていられるのはきっと、彼女達のおかげだろう。
悪魔なのに真面目で世話好きなヴィーネ。
私と同じ天使で、退屈を何より嫌うラフィエル。
そして、この物語に大きく関わっていて、むしろこの物語の核心そのものでもある、自称大悪魔。
胡桃沢=サタニキア=マクドウェル。
5: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:16:55.07 ID:pDk4sywp0
002
あれは確か、学校で体力測定があった日だった。
体力ゲージがおちょこ一杯分くらいしかない私は、当然のようにサボろうと決心していたんだけど、我が親しき悪魔ヴィーネの口車に乗せられてしまい、不本意ながらも参加することにした。
焼肉ってワードの持つ魔力は尋常じゃない。
6: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:17:40.92 ID:pDk4sywp0
そう思いながら、ゆっくりと目を開ける。
そこには、さっきまで邪険にしまくっていたサターニャが、必死な表情で私を保健室に運ぶまでの一部始終が鮮明に映し出されていた。
私はこの時、不覚にも彼女に、ときめいてしまったのだ。
今まで経験したことがない不思議な感覚。
得体の知れない恥ずかしさと、強烈なまでの心地良さが同時に身体の中に湧き起こる。
7: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:18:16.64 ID:pDk4sywp0
「そう、ただし負けたら相手の言うことに一つ従うという悪魔的なババ抜きよ!」
飽きもせず、懲りもせず、挨拶みたいな気軽さで、私にけったいな勝負を持ちかけてくるのだが。
「うーん、まあ……たまには勝負も悪くないかもな」
8: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:18:59.58 ID:pDk4sywp0
003
結果から言えば、ババ抜き対決は私の負け。
まあ二人対戦だから最後は二分の一の戦いになるので、どちらが勝っても別に驚きはしないけど。
しかしサターニャはまるで子供のように両手を上げて無邪気に喜んでいた。
9: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:19:30.12 ID:pDk4sywp0
サターニャの要求はかなり予想外だった。
思わず私は彼女のことを凝視してしまう。
私の視線に対して何かを感じたのか、サターニャは目が合うとすぐに顔をそむけてしまった。
今の反応、ひょっとして、照れてた?
いや……まさかな。
10: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:21:07.94 ID:pDk4sywp0
004
デート、と言っていいのかわからないけど、それでも二人きりで映画館に行くというのだから、デートと捉えても問題はない気がする。
サターニャに指定された待ち合わせ場所は市街地の一端、そこは雑誌などでデートスポットによく取り上げられるエリアだった。
ここを指定してきたってことは、向こうもデートだと認識している?
11: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:23:57.23 ID:pDk4sywp0
体力測定のあったあの日に、私はサターニャに対する見方を変えた。
それまで邪険にしていた態度も改め、それ以降はサターニャに極力優しく接するように心がけてもいた。
しかし、私がサターニャに与えてきたものはきっとその程度の気持ちの変化で償えるようなものではないだろう。
だから今日は、サターニャにどんなことをされようと、それを甘んじて受け入れるつもりでいる。
私はまるで天界にいた頃を思い出したみたいに、精一杯身だしなみを整えてから、行ってきますと呟いて家を出た。
12: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:25:34.34 ID:pDk4sywp0
005
「あら、遅かったわねガヴリール」
待ち合わせ場所に着くと、そこにはすでにサターニャがドヤ顔で待ち伏せていた。
13: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:27:00.04 ID:pDk4sywp0
いつにも増してテンションが高いサターニャと一緒に、少し歩いた場所にある映画館へ向かう。
その際の会話で得た情報によると、サターニャは地上に来てから映画館で一度も映画を観たことがないため、誰かと一緒に映画が見たかったのだと。
「ガヴリールは映画館に行ったことあるの?」
14: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:28:53.85 ID:pDk4sywp0
映画館でチケットを買う際に、私の分のお金をサターニャが出そうとしてきた。
「いや、自分のチケット代くらい自分で払うよ」
「ふん、どうせアンタ課金とかで金欠なんでしょ、今月魔界からの仕送りが少し多かったからこれくらいの出費痛くもかゆくもないわ、それに」
15: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:30:45.76 ID:pDk4sywp0
006
時刻は16時52分。
映画館を出たあと、お腹が空いたので適当に近くのファミレスに入ることにした。
16: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:32:37.10 ID:pDk4sywp0
サターニャの横顔が夕日に照らされて、なんかすごく綺麗だ。
結局、普通にデートを楽しんだだけだったな。
私が変に勘ぐりすぎた。
「サターニャ、なんで体力測定のとき、私のこと助けてくれたの?私、てっきりおまえに嫌われてるかと」
17: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:33:11.53 ID:pDk4sywp0
世界中のあらゆる時計の針が静止した。
もちろん実際は静止してなんていない。
ただ彼女の言葉はそれくらい衝撃的で、驚愕的で、そして享楽的だった。
「ふぇっ?」
18: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:34:05.85 ID:pDk4sywp0
007
後日談として、その日から私達は正式に恋人同士になった。
ヴィーネとラフィエルにはまだ秘密にしてあるけど、まあ長くは隠せないだろう。
しかし自分から報告するのは恥ずかしいので、自然に発覚するのを待つことにした。
19: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:35:07.87 ID:pDk4sywp0
これがこの物語の真相で、真実。
なんてことはない、どこにでもある、どこにでもいる学生の至って平凡な恋物語だ。
事実は小説よりも奇なりというなら、まあ天使と悪魔の恋愛も確かに“奇”と言えないこともないが、これはそんなに難しい話なんかじゃない。
とある日曜日。
私はいつか映画館に行ったあの日のように、なんならあの日以上に、サターニャに負けないように精一杯のオシャレをしたりなんかして、家を出る。
20: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:35:53.21 ID:pDk4sywp0
☆END☆
21:名無しNIPPER
2017/05/31(水) 22:16:37.05 ID:L7BdNzHSO
中身読んでないけどタイトル考えろよ
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