19: ◆VsKDZIx0tDcQ[saga]
2017/05/31(水) 16:35:07.87 ID:pDk4sywp0
これがこの物語の真相で、真実。
なんてことはない、どこにでもある、どこにでもいる学生の至って平凡な恋物語だ。
事実は小説よりも奇なりというなら、まあ天使と悪魔の恋愛も確かに“奇”と言えないこともないが、これはそんなに難しい話なんかじゃない。
とある日曜日。
私はいつか映画館に行ったあの日のように、なんならあの日以上に、サターニャに負けないように精一杯のオシャレをしたりなんかして、家を出る。
今日はサターニャと一緒に水族館に行くのだ。
どうやら今回は私の方が早かったらしく、あとから待ち合わせ場所にやってきたサターニャは私を見つけると少し悔しそうな顔をする。
そんな彼女に向けて、私は言った。
「ん遅かったなサターニャ」
まるでいつかの意趣返しをするみたいに、お互いに私達は続ける。
「ガヴリール……その格好」
「ん、雑誌で見たやつ真似しただけだよ」
「まあ、なんていうか……なかなか可愛いじゃない、天使みたいで」
「おいおい、これでも私は現役の天使なんだぞ悪魔様」
「悪魔じゃなくて大悪魔よ!」
「はいはい、大悪魔様〜」
「棒読みじゃないー!」
これは天使と悪魔の不器用な恋の物語である。
最後にそんな風にまとめながら、私達はお互いの歩幅を合わせて、ゆっくりと歩き出したのだった。
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