森久保乃々「これだけは無理なんですけどぉ!!」
↓ 1- 覧 板 20
47: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:05:51.69 ID:IavW4Xih0
プロデューサーさんは、どこか遠くを見つめています。
『死にたい。』
48: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:06:37.67 ID:IavW4Xih0
・・
・・・
・・
49: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:07:23.91 ID:IavW4Xih0
「あの…これ…」
赤い目の乃々ちゃんは、おずおずと手に持った紙袋を差し出した。中を見ると、ノートとハンカチと、可愛くラッピングされたクッキーがあった。
50: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:07:58.27 ID:IavW4Xih0
――
―――
――――
51: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:10:27.64 ID:IavW4Xih0
そのおんなのこは、きよわで、おくびょうで、いつもせまいところでひとりすわっている、ダメなおんなのこでした。
きのうも、きょうも、そしてきっとあしたも。おんなのこはずっとひとり、かたまったままうごかないまま。
52: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:12:00.54 ID:IavW4Xih0
それからたびびとさんは、あめのひもかぜのひも、あついひもさむいひも、ずっとおんなのこのまえですわりつづけました。
「あなたはたびびとさんなんですよね?だったら、わたしにかまわず、ほかのところへいったほうがいいんじゃないですか?」
53: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:12:35.16 ID:IavW4Xih0
それからふたりはいろんなところにいきました。
あおくかがやくうみ、みどりいっぱいのもり、ひとがたくさんいるまち、きれいなさばく、おおきなこおりのはらっぱ…。
54: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:13:16.54 ID:IavW4Xih0
でも、たびのとちゅうには、つらいこともいっぱいありました。でも、おんなのこは、つらいことにきがつきません。だって、たびびとさんがいつも、おんなのこのぶんも、つらいことをぜんぶ、ひとりでしてくれていたからです。
だんだんと、たびびとさんのげんきはなくなっていってしまいました。だんだんと、たびびとさんのかおは、かなしくなっていきました。
55: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:13:57.70 ID:IavW4Xih0
それからふたりは、ゆきのひもかみなりのひも、くらいひもつめたいひも、ずっとすわりつづけました。
「もっといきたいところがあるんだよね?ぼくはもうダメかもしれないんだ。だから、きみだけでたびをつづけてくれないかな?」
56: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:14:26.19 ID:IavW4Xih0
「なんで、ぼくをすきになったの?」
「わたしにはわかりません。ただ、わたしはあなたといっしょにいると、とてもとてもしあわせなきぶんになります。」
57: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:14:55.14 ID:IavW4Xih0
「いままで、ずっといっしょにいてくれてありがとう。もうぼくはだいじょうぶ。もういちど、たびをはじめよう。」
ふたりはてをつないで、あるきはじめました。
65Res/48.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20