森久保乃々「これだけは無理なんですけどぉ!!」
1- 20
48: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/05/28(日) 21:06:37.67 ID:IavW4Xih0

・・
・・・
・・

 乃々ちゃんは、涙まじりの言葉を紡ぐ。

「そんなこと…嘘でも言わないでください…!」

 その瞳は、まっすぐ僕を見つめている。乃々ちゃんがここまでちゃんと僕を見たのは、初めてかもしれない。

「そん、なこと、言うくらいなら…それ、より前に…私に…」

 鼻をすする音が痛々しく病室に響く。乃々ちゃんは小さな肩を震わせている。

「いつも…助けられてますから…ぐずっ…私も…辛い、ときは…ひっぐ、助けに…頼って…。」

 そこまで言うと乃々ちゃんは、初めて涙をぬぐいだした。

「お願いですから…そんなことだけは言わないでぇ…。」

「…。」

 僕は、ベッドから出て乃々ちゃんに歩み寄る。そして、最初に言うべき言葉を。

「ごめん。」

 乃々ちゃんは顔を伏せ、涙をぬぐっている。しゃくり上げて震えるその肩に手をやる。

「ごめん、乃々ちゃん。泣かせるようなこと言って、ごめん。少し、弱気になっちゃった。」

「弱気に、なったら…たよ、頼って…もらひぐっ、もらいた…。」

 頼る。乃々ちゃんの、と言うより他人の前では弱音を吐かないようにしていた。不安にさせたくなかったから。だから、誰かに頼ることを、心のどこかでダメなことだと思っていた。

 でも。

「頼って…いいのかな?」

「わた、私だって…いつもプロデューサーさんに、頼って、ますし、力に、なれないかもで、すけど…なりたんです…!」

 乃々ちゃんは顔を上げ、また僕の方をまっすぐと見る。目尻には涙がたまっている。

「だから…私…苦しいときは…苦しいって…。」

「うん…ありがとう。」

 ありがとう、乃々ちゃん。でも、そろそろ涙を止めてほしいな。

「僕はもう、大丈夫だから。」

「ひぐ…本当ですか…?」

「本当、でも…次は。」

 次辛くなったときは。そのときは。

「乃々ちゃんを頼るよ。」

「…はいぃ。」

 そこで乃々ちゃんは止まりかけていた涙をまた流し始めた。ハンカチを貸そうと思ったけど、持ってなかったことを思い出したから、病室にあった箱ティッシュを手渡した。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
65Res/48.00 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice